映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「マエストロ!」

 Amazonで新しく観られるようになった作品がないか眺めていたら、まもなく見放題終了という作品の中で評価が高かったので観てみた作品です。
 


マエストロ!

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マエストロ! | アスミック・エース

作品データ(映画.comより)
監督 小林聖太郎
製作年 2015年
製作国 日本
配給 松竹、アスミック・エース
上映時間 129分
映倫区分 G

ストーリー(公式サイトより)
若きヴァイオリニスト香坂のもとに、解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。だが、練習場は廃工場、集まったメンバーは再就職先も決まらない「負け組」楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えないもので、不安が広がる。そこに現れた謎の指揮者、天道。再結成を企画した張本人だが、経歴も素性も不明、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。自分勝手な進め方に、楽団員たちは猛反発するが、次第に天道が導く音の深さに皆、引き込まれていく。だが、香坂は名ヴァイオリニストだった父親が死んだ裏には天道が関係していた事を知り、反発を強めてしまう。そして、迎えた復活コンサート当日、楽団員たち全員が知らなかった、天道が仕掛けた“本当”の秘密が明らかになる――。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
指揮者に西田敏行コンサートマスターを務めるバイオリニストに松坂桃李、オーケストラ未経験のフルート奏者に歌手のmiwaという配役になっています。

結婚して以降は日本の歌手の曲も大分聴くようになりましたが、やはり今でも主に聞くのは洋楽になっています。
先日久しぶりにレンタルしたのは、Avicii、Rachel Platten、Lukas Graham、Foxes、moumoonBUMP OF CHICKENでした。
miwaの曲はCMやNHK紅白歌合戦などで聞いたことはあるものの、じっくり曲を聴いたことはなく、最初この映画に登場したときには、確かこの人歌手だったような、というような感じでした。

歌手なので、miwaが歌う場面が出てくるのかな、と思ったのですが、歌うシーンは全くありませんでした。
メインの登場人物として、フルート奏者を演じているのですが、ひどいということはないのですが、なんだかその演技が気になってしまいました。
声の高さのせいなのか、単に慣れていないからなのか。

物語の内容としては、かつて大きな楽団でも指揮をした経験のある天道が、解散した楽団の中でも所属先のない楽団員たちを集めて楽団を再結成するというもの。
天道のやり方に最初反発するものの、天道の過去が明らかになったり、天道のやり方の意味が伝わることにより、理解が深まり、再結成コンサートが成功する、というものです。

miwaの演技力はおいておくとして、なぜ天道がここまでして再結成しようとしたのか、ということについては、もう少し踏み込んでも良かったのではないかと思います。
1つの意図は分かるのですが、数十年関わってこなかったオーケストラにそんなに簡単に関わることができる世界なのかもよく分かりませんし、もう少し踏み込んで欲しかったです。

代わりに、後半での演奏シーンがちょっと長く感じました。
もちろん良い演奏だとは思うのですが、既に何度も練習シーンで演奏する場面があったので、一曲だとしても長くなるクラシックを、特にその中では指揮者や奏者の様子しか変化のなく曲が流れるシーンが続くのは少し間延びした印象を持ちました。

この点、ちょっと前に観た「オーケストラ」はバランスが取れているように感じました。

ガールズバー

毎年年末に会っていて、ここ数年は泊まりで旅行に行っていた、高校からの友人3人でこの夏に会いました。
夏に会った理由としては、1人に去年子どもが生まれ、連れ合いからの許可をもらえないとのことで、泊まりで出かけるのは今後出来ないだろうということや、同じ彼がお父さんが年明けに亡くなり墓参りと家を売って全く違う地に越したお母さんに会いに東京に戻ってきたこと、また、僕自身が元配偶者に家から追い出され、それはまだ良いのですが、うつを心配してくれて会うことになりました。

1人は仕事があったのですが、その職場の近くの新宿で会いました。
最初に、たまに来るという韓国料理屋さん(豚かん)に行き、サムギョプサルやチヂミ、プルコギなどを食べ、その後、1人が大学生の時に行っていたお店のチキン南蛮を食べたいと言うことでそのお店に行きました。

その後、なぜか、突然、「ガールズバーに行く」と。
ガールズバーというものを知らなかったのですが、びっくりしました。
 

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性風俗の経験もなく、キャバクラとかも経験がないので、比べられないのですが、女の子(ガール)と一緒にお酒を飲む、というお店でした。
しかも、なぜかその女の子たちはみんなバニーガールの格好。

他の2人は楽しんでいたようなのですが(1人はそもそも連れてきた奴、もう1人は「楽しかった」と言っていました)、僕は知らないことを経験したという意味では良かったのですが、1回で良いかな、と思いました。

僕ら3人に2人の女性が来たので人数も多くなく、初めて会う人と話すことは良かったのですが、静かに話せる場所ではなく、話の内容も30分もすれば忘れてしまうようなこと。
どれほど普段から30分後に忘れていないような話をしているのか?と突っ込まれれば、普段の会話もそんなに重要なことを話してはいないのですが、僕はゆっくり話せる場所が良いな、と思いました。

ガールズバーに連れて行かれた後は、こいつらも立派なおっさんだな、とか、こういうのがイヤだという男もいるということが分からなくなるくらいおっさん世界にまみれたのか、と憤慨していました。
が、ちょっとだけ好意的に考えると、いつも3人ばかりで話しているので、性風俗でもないし、キャバクラでもなく、ちょっといつもと違うメンバーを交えて飲みたかったのかな、と思います。
お金もガールズバーに連れてきた奴が払ってくれましたし。

まぁそれでも年に1回しか会わないのだから、別に他のメンバーがいなくても僕は十分だと思いました。

「ラスト、コーション」

ちょっと前に読んだ町山智浩さんの『トラウマ恋愛映画入門』で紹介されていた作品です。
TSUTAYAディスカスで夏の間、何回か旧作を安くレンタル出来るようになっていたので、観ることが出来ました。


ラスト、コーション [DVD]

 
作品データ映画.comより)
監督アン・リー
原題 色,戒
製作年 2007年
製作国 アメリカ・台湾・中国・香港合作
配給 ワイズポリシー
上映時間 158分

あらすじallcinemaより)
1942年、日本軍占領下の上海。ごく普通の女子大生チアチーは、抗日運動に心血を注ぐクァンに秘かな恋心を抱き、彼と行動を共にする中で次第に感化されていく。やがてチアチーは、日本の傀儡政府に協力する特務機関のリーダー、イーに近づき暗殺を遂行する危険な任務を与えられる。さっそく身分を偽りイー夫人に接近し、冷徹で異常なほど用心深いイーを誘惑する機会を窺うチアチーだったが…。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
この作品、原作は張愛玲の『色・戒』です。
英語タイトルは「Lust Caution」、欲望注意、といったところでしょうか。
映画.comではレーティングが書かれていませんでしたが、暴力的に犯すシーンや激しいセックスシーンがあり、モザイクはあまりなかったのですが、局部が見えていた場面があるので、子どもが観る場合は注意した方が良いと思います。
僕の感覚ではR18くらいが妥当だと思います。

物語の内容は日本占領下の上海を舞台として、日本側につくイーと、その彼の命を狙うチアチーというスパイ同士の恋愛です。

チアチーが大学生だったのになぜスパイとして活動していくのかというと、単に大学の友人たちが抗日運動にのめり込んでいくのにつられて、という訳ではなく、彼らのグループのリーダーであるクァンへの気持ち、彼に少しでも近づきたいという気持ちから始まっていきます。

その活動を通して、チアチーは夫人を演じるために、処女だと分かってしまってはいけないということで、好きでもない男に抱かれ、イーに近づいた時も最初、チアチーは一方的に犯されます。

イーの仕事柄常に命を狙われているので、イーは中々自分の気持ちを開示しようとしないのですが、チアチーと関係を続ける内に、肉体の結びつきが心を結びつけたのか、肉体が結びつくような深い関係が継続したからか、少しずつチアチーのことを愛し始めます。
そのイーのチアチーへの愛はとても分かりづらいもので、単なる恋愛関係だったら、そんな分かりづらい人と関係を続ける必要はありませんが、チアチーはイーの命を狙う必要性から関係を続けます。
関係を続けていくと、イーのぶっきらぼうで時には暴力でしか支配できない、支配するこということが愛だと考えている男のことをチアチーも理解していきます。

そして、最後には、2人ともがお互いを愛するようになる。
けれど、その2人の愛が深く結びついたからこそ、最後には悲惨な結末を迎える。
映画のラストでは、イーがある決断を下す場面が描かれていますが、この後の歴史を知っている僕たちは、日本側についていたイーがその後どんな目に遭ったのかは想像出来ます。

映画だけを観ると、暴力で支配し、それが愛だと考えている男が最後にもやはり暴力で支配する、ということで終わるかのように見えますが、結局彼自身もこのあと悲劇的な結末を迎えたであろうことを考えると、暴力で支配するということでは何もうまくいくことはない、ということを示しているのではないかと思います。

益田ミリ『痛い靴のはき方』

娘が実家にお泊まりに来ていた際、娘の夏休みの宿題で本を読む、ということがあるようだったので、僕も一緒になんか読んだ方が良いだろうな、とそのときたまたま新聞広告に載っていたこの本を買いました。
新聞広告を見たのはたまたまだったのですが、益田ミリさんの著書は結構読んでいていて、一番代表的なのは映画にもなった『すーちゃん』でしょうか。
新聞広告には『文庫オリジナル』とあったので、単行本で読んだことがある、ということもなく、手軽に読めるので手に取りました。
 


痛い靴のはき方 (幻冬舎文庫)

 
益田ミリさんの著作は『すーちゃん』のように、漫画もあるのですが、この本はエッセイです。
コミックエッセイとかでもなく、たまにイラストが載っていますが、文章になっています。

すごくざっくりとした言い方をすれば益田さんの日常が垣間見えるような特に大きな出来事があるわけでも、何かのテーマに沿って書かれたものでもないので、万人受けするようなものでもないと思います。
けれど、趣味は旅くらいしかない、と書かれているように、よく旅に出ていて、その旅が遠出のこともあれば、近場のちょっとしたお出かけのこともあり、それはそれで、旅好きな自分にとっては、またどこかに行きたいな、という気持ちにさせてくれます。

また、ふと思ったこと(もしかしたら何年も考え続けてきたことかも知れませんが)の文章もいくつか心にとまるものがありました。

「わたしのこと覚えてますか?」というタイトルの文章では、

 

たとえ、わたしが相手を覚えていたとしても、相手はわたしを覚えていないという前提で、挨拶をするようにしている。
益田ミリです、お久しぶりです」
とりあえず名乗る。そうすれば、先方だって対処の仕方があるというもの。

 
そうそう、「わたしのこと覚えてますか?」と言われるときにどう反応したら良いのか分からないときがあるのだけれど、そのときのヒントでもあるし、僕自身は忘れているのに、覚えてもらっている気でいることも多いな、と思ったりしました。

また、「人は必ずわかり合えるわけではない」という文章では、

 

人は必ずわかり合える。
大人たちから吹き込まれ、そうだ、そのとおりだと真摯に受け止めていたらたくさんの擦り傷を負ってしまった。あれは大人の願望のかかけらだったのである。
わかり合えない人との意見の食い違いは、回数を重ねれば重ねるだけ傷口が広がるわけで

 
僕も35年近く生きてきたので、さすがに人はわかり合える、という幻想(?)は抱かなくなったものの、たくさんの擦り傷を負ってきたな、と。
この文章はまだ続いていくのですが、「わかり合えない人との意見の食い違いは、回数を重ねれば重ねるだけ傷口が広がる」というのは、たとえ一回結婚した相手であってもそうなのだよな、と思ったりしました。

結局の所人はみんなわかり合えない、だからこそ対話を、ということも考えるのですが、その対話をすること自体がものすごく体力と気力のいるもので、ささっと切り上げてしまうのも、お互いに傷口が広がらずに済む方法だったりするのかもしれない、などとぼんやりと考えました。

「海月姫」

観ようと思っていた作品がAmazonで無料で観られるようになったいないかチェックしていたら、「そろそろ無料期間が終わりです」という作品の中に漫画を読んだことのある作品がありました。
漫画もKindleで3巻目くらいまで無料だったので読み、でも結局最後まで読んでいないので、どういう展開になるのか知らなかったので、観てみました。 


海月姫

 

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作品データ映画.comより)
監督 川村泰祐
製作年 2014年
製作国 日本
配給 アスミック・エース
上映時間 126分
映倫区分 G

あらすじシネマトゥデイより)
人生において男は不要だと考えるオタ女子集団「尼~ず」の面々が集まる、男子は立ち入り禁止のアパート天水館。そこに暮らすクラゲオタクの月海(能年玲奈)は、熱帯魚ショップでひと悶着(もんちゃく)あったところをファッショナブルな女性に助けてもらう。次の日の朝、ひょんなことから彼女が女装をしていた蔵之介(菅田将暉)という男性だとわかって驚がくする。それを機に、蔵之介は男性であることを秘密にし天水館に出入りする。月海たちと蔵之介が交流を深める中、天水館の取り壊しが決まってしまう。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
冒頭にも書きましたが、原作は東村アキコの漫画(『海月姫』)です。
知りませんでしたが、映画だけでなく、テレビドラマ(海月姫 - フジテレビ)にもなっているそうです。

漫画を最後まで読んだわけでないのですが、とても原作の漫画への敬意を感じる作品でした。
主人公の月海が暮らす天水館の住人たち「尼~ず」の面々は見た目だけでなく、演じている人たちも原作をちゃんと読んでいることが伝わるような、原作世界を壊すことなく演じているように感じました。

ですが、原作世界を壊していないからこそ、逆に、やはりこの作品は漫画だよな、ということを思わせられてしまいます。
例えば、絵に描いたような蔵之介の家だとか、最後のファッションショーだとか、漫画では可能だし、漫画では引き込まれる展開だったとしても、いざ実写化されると、その展開には無理があるのでは?というシーンがありました。

漫画と実写の関係から離れて、物語の内容に関しては、なぜ月海が蔵之介の兄修に恋するのかもよく分かりませんでした。
優しくされたと言うことは分かりましたが、その後なぜそこまで恋するようになるのか、会う頻度も多いわけでもなく、一目惚れに近い形で恋する展開が、少年コミックにはよくある展開ではあるものの、自分にはよく分かりませんでした。

まぁ、でも蔵之介と月海が近づくような展開もあり得たのに、最後まで関係に進展がなかったのは、ハッピーエンドで簡単に終わるということがなくて良かったです。

Ankerのキーボードを無償交換してもらった話

 先日、キーボードが壊れました。
 全く使えなくなった訳ではないのですが、キーのいくつかが反応しなくなってしまいました。
 僕が使っていたのは、Bluetoothのキーボードで、そもそもは、ノートPCのキーボードを使っていると、キーを叩く力が強いのか、はたまた文章を沢山書いているからなのか分かりませんが、摩耗するだけなら良いのですが、キーが壊れてしまうことがあり、そうするとノートPC自体を買い換えないといけなくなるので、キーボードを使うようになりました。
 試しに使ってみる分にはちょうど良い値段だからということで買ってみたら、軽く、とても薄く、幅もちょうど良かったので、キー配列は少し気になる部分もあるのですが、それ以外の部分ではとても気に入っていました。 


Anker ウルトラスリム Bluetooth ワイヤレスキーボード iOS/Android/Mac/Windows に対応 ホワイト

 

 キーが反応しなくても、あまり使わないキーなら良いのですが、Deleteと右側にあるEnterが反応しなくなってしまったので、文章を打つのに結構困ってしまい、新しいものを買うか、以前のようにPC本体のキーボードを打つか悩んでいたのですが、同じものを買おうかAmazonで商品のページを見ていたら、保証で交換してもらった、というレビューが載っていました。
 そこで調べてみたら、キーボードは18ヶ月の保証期間があり、僕は7ヶ月くらいだったので、保証期間内だということが分かりました。
 ということで、Ankerのサポートセンターに電話し、交換してもらえることになりました。
(電話の様子はこの記事を参考にしました。ほぼ同じことをしました。↓

【とても簡単!】Ankerのウルトラスリムキーボードを保証で交換してもらった!そのやり方の一部始終を解説!! - エルパの盤上この一手

 僕がサポートに電話をしたのが月曜日の午前中だったので、週末明けということでつながりにくいということはありましたが、購入の証明もAmazonの注文番号ですぐに確認してもらえ、購入したときと今で違う住所になっていることもちゃんと対応してくれました。
 ということで、電話した2日後には届きました。
 面白かったのが、発送の連絡がアマゾンから来たのですが、今回は買ったのではなく保証での交換だったので、箱に「Amazon」の文字がなかったことです。

 

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 Amazonの文字のない段ボールだったものの、中にはちゃんとキーボードが入っていました。 

 

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 早速、届いた新しいキーボードを使い、ちゃんと使えるようになって満足したのですが、今まで使っていたキーボードはどうしたのかというと、キーボードが届いたその日に郵便でAnkerからレターパックライトが届いていました。
 サポートに電話したときに、「キーボードを送る封筒を送るので、箱などには入れずにそのまま封筒に入れて、ポストに投函してください」と言われていました。

 

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 ということで、次の日、このレターパックライトにキーが反応しなくなったキーボードをそのまま入れ、ポストに投函しました。

 このキーボード、そもそも高いものではなかったので、半年持っただけでマシか、と危うく新しいものを買いそうでしたが、無償で交換してくれ、しかも、月曜午前ということで電話がなかなかつながらなかったものの、すぐに新しいものが届くなど、とても良かったです。

「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」

Amazonでオススメ作品か何かで表示された作品で、全く知らない作品だったのですが、出演が竹中直人大竹しのぶと有名な俳優が出ていることもあり、観てみました。


ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う ディレクターズ・カット 完全版

 

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ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う : 角川映画

作品データ映画.comより)
監督・脚本 石井隆
製作年 2010年
製作国 日本
配給 クロックワークス
上映時間 135分
映倫区分 R18+

ストーリー(公式サイトより抜粋)
毋・あゆみ(大竹しのぶ)、姉・桃(井上晴美)、そしてまだ少女のおもかげを残すれん、(佐藤寛子)の美人三毋娘を目当てにバーは賑わっている。
既に男には何の幻想も抱かなくなっているこの毋娘には、大きな夢があった。
大金持ちになってボロビルを建て直し、働かずに贅沢を極め、セレブな人生を送ること――。
日々の売り上げだけでは一生かかっても夢が果たせないと知っている彼女たちは、高齢者を色香で惑わせて内縁関係になり、保険をかけて、時期を待ち、殺す。それを自殺に見せかけるために遺体を富士山麓の自殺の名所、青木ヶ原の奥地に運んで、そこで骨になるまで放置する――。
彼女たちは遺体を放置して骨にすることを、ワインの熟成に喩えて“熟成させる”と呼び、熟成させるための青木ヶ原の奥地を、キリスト教会前の広場を意味する“ドゥオーモ”と呼んでいる。
約1年間にわたり内縁関係を持っていた老人が、自分に1億の保険金がかけられていることに気づき、桃は、つい台所の包丁を持ち出し、老人を刺し殺してしまう。
母娘3人は、もはや“使い物にならない”老人の死体を仕方なくバラバラに解体して森のなかに捨てることに。しかし、3人はそのバラバラにした死体を入れた寸胴に、老人が嵌めていた超高級腕時計ロレックスが混ざり込んだことに気付かなかった。
百万円もするロレックスが勿体ない、誰かに拾われでもしたら製造番号からアシがつくかも知れない――!
れんは少女のような装いで、代行屋紅次郎の事務所を訪ねる。
儚げな黒髪の少女れんにほだされて、れんと一緒に紅次郎のロレックス捜しが始まった。
広い樹海の中で、小さなロレックスが見つかるわけがない。しかし目には見えない因縁に導かれたかのように、次郎は偶然にもそのロレックスを見つけることに成功する。どす黒く得体のしれない肉塊のようなものがこびりついたロレックスを・・・。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★☆☆☆


感想
公式サイトにはほぼすべての流れが書いてあるので、もはやこのストーリーを読んでしまえば、あとは何が残るかといえば、俳優たちの演技や舞台になります。
特にこの作品では、れんを演じる佐藤寛子が裸になるシーンがあるので、制作した人たちもそれがメインだと定めているようで、不必要な場面でも佐藤寛子がとにかく脱ぎます。

確かにきれいな裸だとは思うのですが、女性のきれいな裸を観たいだけだったら、絵画や写真でいろんな作品があるので、映画に「女性のきれいな裸」をメインに求めている訳ではない身としては、逆になぜこの場面で脱ぐのか、とか、なぜこの裸になっているシーンをこんなにも引き延ばすのかと疑問に思いました。

メインストーリーは公式サイトでも書かれているので、そこに深入りせずに横道の話をすると、佐藤寛子が自分の身体にむち打つシーンがあるのですが、この光景が、キリスト教の修道士たちが禁欲のためにむち打ちを行っている光景と自分の中でリンクしてしまい、なんだかこの作品でのむち打ちのシーンが生ぬるくて笑ってしまいました。
修道士たちは自分の皮膚がさけ、肉が出る程までに自分でむち打つこともあるのですが、それに比べたら、このシーンは単に佐藤寛子の裸を見せたいだけなのではないか、と。

メインストーリーでは、保険金殺人ということで、この作品にも出演している、大竹しのぶが主演した「後妻業の女」のようなテンポのある展開になるのかな、と最初少し期待したのですが、全く違って、ただただ泥沼に陥り、竹中直人演じる紅次郎もなぜこんなことに巻き込まれているのか、否応なし、あるいは狡猾に巻き込まれるわけでもなく、何をしたくてこんなことになっているのか、よく分からなかったです。

また、最後に拳銃が出てきますが、ヤクザ映画でもないのに、拳銃を撃つシーンが入ったことも、興ざめした理由です。

ちなみに、この作品で一番関心を持ったのは、ラストにかけて出てくる舞台(ロケ地)です。
初めて観る場所で、こんなところが日本にもあるんだ、と思って調べてみたら、大谷石地下採掘場跡という所のようでした。
今度行ってみたいな、と思います。

大谷石地下採掘場跡 - 大谷資料館