映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

大町テラス『お熱いのがお好き?』

 ぼーっとしながらAmazonのサイトを眺めていたら、「オススメ」として表示された作品です。
 数は少なかったものの、レビューの評価がたかかったこと、まんしゅうきつこさんの『湯遊ワンダーランド』を読んで、サウナに興味をもっていたこと、そして、紹介文の中にあった「33歳。バツイチ」という所に惹かれ、読んでみました。 

 


お熱いのがお好き?

 

書籍詳細 - お熱いのがお好き?|イースト・プレス

内容イースト・プレスより)
"”私”をととのえる サウナ×水風呂!
西宮まみ33歳。バツイチ子なし。メーカー勤務のデザイナー。
そんな彼女の楽しみは、「サウナ(&水風呂)」。
目まぐるしい毎日、モヤモヤすることも多いけれど、サウナに入ってととのって、帰りにビールを飲み干せば「ま、いっか」。
妙齢女性の等身大の暮らしに、サウナの楽しみがあると、単純に気持ちもいいし、生活もちょっと上向きになる(かも)ね!
という、読むほどにスッキリするマンガ。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 まんしゅうきつこさんの『湯遊ワンダーランド』とは違い、本当に、サウナと水風呂に入ることを繰り返す日常が描かれています。
 少しだけ、元夫との関わりが出てくるものの、サウナ→水風呂の繰り返しです。

 こんな生活で良いのか、と言いつつも、なんだかんだで出会いがあって、デートする場面は、その経緯も描かれていたのですが、いつの間にか恋人が出来ていて、その恋人と一緒に銭湯に行く場面は描かれるものの、どこで出会って、どうやって付き合うことになったのかなどの経緯がすっぽりと抜けているところが、僕には物足りなさを感じました。

 どうしたら、そういう相手と出会い、そういう関係になるのか。
 「35歳。バツイチ」の自分としては、そこが一番肝心なんだけどなぁ、と。

 それでもサウナと水風呂の良さはすごく伝わってきて、行ってみたいなぁ、と思うのですが、調べてみたら、住んでいる所の近くに「ふらっと」行ける銭湯はなかったので、中々日常にサウナの生活を組み込むことは難しそうです。

ニジマス釣り

 離婚する前からのことなのですが、次男が以前から「釣りに行きたい」と言っていました。
 僕は釣りはやらずよくわからないので、父は僕が小さな頃によく釣りに行っていたので、父に以前から次男を連れて行ってあげて欲しいとお願いしていたら、ようやくこの夏実現出来ました。

 夏休みといえども次男の土日の予定がたくさん入っていて、予定を合わせるのが大変でしたが、父、僕、次男と男三人3世代で行くことが出来、心配していた天候も日差しも強くなくほどよい具合で良かったです。

 行く前日まで父がどこに釣りに行こうとしているのかわからなかったのですが、行ったのは奥多摩の大丹波川国際虹ます釣り場というところでした。

奥多摩で釣り&バーベキュー! 大丹波国際釣り場 

 

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 4時間近くいたと思うのですが、3人で14匹くらい釣ることが出来ました。
 幸運だったのは、放流の時間にいたこと(当日は9時にニジマスの放流がありました)と、達人っぽいおじさん(おじいさん?)が色々と教えてくれたことです。
 父も単独で5匹ほど釣っていましたが、その達人のおじさんがエサはイクラよりもブドウムシの方が良いと言って、次男にブドウムシをくれて、「あの辺に投げてごらん」とレクチャーしてくれたので、次男も沢山釣ることが出来ました。

 最終的には、12時に放流があったら続けようと言っていたのですが、結局放流はなく、他の人たちの様子を見てみても釣れていなかったので、12時半までやって終わりにしました。

 たくさん釣れたので、実家ではもちろんのこと、次男に持たせて帰って食べてもらうと思っていたのですが、元配偶者は料理をしない人だったので、魚をさばけるだろうか、はらわたを出すことが出来るだろうか不安だったのですが、 大丹波国際釣り場ではその場ではらわたを取り除いてくれ、袋つめしてくれるので、とても良かったです。

 その日は実家の夕食で次男と共に食べ、次の日(月曜日)は僕は仕事があったので、僕はそのまま帰り、母に次男を家の近くまで送ってもらいました。
 ニジマスの中にはアルビノのが一匹入っていて、その感想など含め特に何も連絡が来ていないのですが、とにかく次男が以前からやりたいと言っていた釣りを出来て、しかも沢山釣れて良かったです。

 父も嬉しかったようで(僕以上に言葉での愛情表現が下手な人なので)、「また行こうか?」と言っていました。

「ルドルフとイッパイアッテナ」

 Amazonで観られる作品を眺めていたら、以前、何かの映画を観た際に予告編が流れ、子どもたちが「これ知ってる!」と言っていた作品です。
  知ってる、というのは、児童書になっているからで(斉藤洋、杉浦範茂『ルドルフとイッパイアッテナ』)、子どもたちはかなり本を読むので読んだことがあったようです。

 


ルドルフとイッパイアッテナ

 

youtu.be

 

映画『ルドルフとイッパイアッテナ』公式サイト


作品データ映画.comより)
監督 湯山邦彦・榊原幹典
製作年 2016年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 89分
映倫区分 G

ストーリー(公式サイトより)
大好きなリエちゃんと岐阜で暮らしていた黒猫のルドルフ。
ある日、長距離トラックの荷台に迷い込んでしまう…。
目が覚めたルドルフがたどり着いた場所は、大都会・東京だった!
ルドルフは街で最も恐れられる巨大なボス猫・イッパイアッテナに出会う。
自分が住んでいた場所がわからないルドルフ。
故郷に帰れないことを知り、失望する…。
イッパイアッテナと一緒に行動するようになったルドルフは、ノラ猫としての生き方を、少しずつ教わっていく。
そして友だちになったブッチーから、みんなから恐れられるデビルという犬の存在を知らされる。
実はイッパイアッテナには人間には知られてはいけないすごい能力があった…!
それはいったい…!?

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 
僕自身は原作を読んだこともなく、内容も知らないまま見ました。
 ちょっとした悲しみを含みつつ、ある意味ハッピーな終わり方になっている点でも児童書を読むような年齢の子ども向けには良いのかもしれません。

 が、ノラ猫や迷い猫を沢山飼っていた(家の前に置かれたりして)祖母の姿だったり、猫が車にひかれるのを目の前で見たことがあったり、ノラ猫の寿命の短さを知っている自分にとっては、「こんなに綺麗な世界じゃないんだよなぁ」と思ってしまいました。

 縄張り争いも厳しく、仔猫なら、他の猫によって殺されることもよくあることです。
 なので、まぁ、猫ということを抜きに、シンプルに成長物語として捉えれば良いのかもしれませんが、そうすると、映画よりも本で読んだ方が面白さが伝わるのかな、と思いました。

樹木希林『この世を生き切る醍醐味』

 先日、何かの折りに樹木希林さんに関する記事を読みました。
 

dot.asahi.com

 
 生前、朝日新聞の記者がインタビューした様子が書かれていて、樹木さんは「本にはしないで」と言っていたけれど、出版することになった、とのことでした。
 樹木希林さんの『一切なりゆき』を読んだばかりだったこともって、興味がわいて読んでみました。


この世を生き切る醍醐味 (朝日新書)

 

朝日新聞出版 最新刊行物:新書:この世を生き切る醍醐味


内容朝日新聞出版より)
とても母らしいです。美談じゃなく、ダメなところも書いているから。
――娘・内田也哉子さん (インタビューも収録)
樹木希林はなぜあれほど平気に死んだのか読み継ぐべきラスト・ロングインタビュー
この浮世をぞんざいに生き切る覚悟。
あらゆる出会いや運命に感謝する心のもちよう。
病や死すらおもしろがる透徹した視点。
樹木希林さんの言葉一つひとつがお手本だ。
そして娘・内田也哉子さんが初めて語る最期の日々、内田家の流儀、未来に受け継ぐ「母の教え」とは――。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 『一切なりゆき』との違いは、3日間にわたるロングインタビューをまとめたものであること、そして後半最後には娘の内田也哉子さんへのインタビューが載っている点です。
 『一切なりゆき』は樹木希林さんがこれまで色んな所で語った中でも印象的な言葉を集めたものですが、この本は樹木さんが自分の人生、そして、質問に対して答える中で出演してきた作品を語る内容になっています。

 率直に、この本を読んでの感想は、物足りない、ということでした。
 インタビューは3日間に及んだとのことですが、樹木さん本人が本にすることを望まなかったのは新聞に3回に渡って連載されるということもあったのだと思います。
 樹木さんが、本にすることを前提に語っていたら、もっともっと語っていたように思います。

 僕は樹木さんの語っていた内容というのを『一切なりゆき』で初めて知り、それが興味深かったので、この本を読んだのですが、正直もっともっと、その時どのように感じていたのか、何故そのようなことをしたのかということを詳しく知りたいと思いました。
 例えば、舌禍事件とされている久世光彦さんとの出来事は避けられていたり、本木雅弘さんとのこと、孫たちのこともあまり語られていません。

 なので、印象に残ったのは、娘、内田也哉子さんへのインタビュー内容です。

「自分が美しいと思えない生き方はしたくない」っていうことだったんでしょうね。良いとか悪いとかじゃなくて、あくまで自分の尺度ですべてを決めて突き進んでいたんだなっていう……。
 つらければつらいほど、周りの人へのシンパシーというかそういうものが増幅する人なんじゃないかとも思いました。「お母さん、今、そんなにつらいんだから、自分のことだけで十分よ」って時でも、まだ人の心配してましたから。そういう質なんでしょうねえ。

 
 「自分が美しいと思えない生き方はしたくない」とか、「つらければつらいほど、周りの人へのシンパシーというかそういうものが増幅する人」とか、あぁ、こういう部分に僕は『一切なりゆき』で惹かれて、そして、これからそういう生活を送りたいな、と思ったんだよな、と。
 人と比べない生き方というのは中々大変ですが、自分の好きなものを大切にしたり美しいと思える生き方というのを大切にしていきたいな、と改めて思いました。

「幸せなひとりぼっち」

 観たいと思っていた作品がAmazonで観られるようになっていたので見てみました。

 


幸せなひとりぼっち(字幕版)

 

幸せなひとりぼっち | 2016年12月17日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開

 

作品データ映画.comより)
原題 En man som heter Ove
監督 ハンネス・ホルム
製作年 2015年
製作国 スウェーデン
配給 アンプラグド
上映時間 116分

ストーリー(公式サイトより)
 愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ。かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか鼻つまみ者でしかない厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っているのであった。愛する妻を亡くした孤独な中年男オーヴェ。かつて町内の自治会長を務めたこともあり、近所には規律に厳しい人間として知られていた。年齢を重ねてからは気難しさに拍車がかかり、いつしか鼻つまみ者でしかない厄介なおじさんと化していた。地域の治安を守るため、共同住宅地の監視役を自ら買って出ていたのだが、数年前、自治会選挙で落選。今や、誰からも望まれていない見回り日課とする日々を送っているのであった。
 オーヴェは43年間、鉄道局職員としての仕事を全うしてきたが、突如クビを宣告されてしまう。家に帰れば、今は亡き妻の面影が脳裏をよぎる。孤独に耐え切れなくなった彼は、自宅の天井にロープをかけ、首つり自殺を図る。ところがその時、向かいのテラスハウスへ引っ越してきたパルヴァネ一家の騒がしい声がオーヴェの耳に飛び込んでくる。一家の車がオーヴェの家の郵便受けにぶつかってしまい、自殺どころではなくなってしまう。オーヴェは外へ飛び出すと烈火のごとく怒り、挨拶もしないまま代わりに車を駐車場にきれいに車を停め、ぶつぶつ文句を言いながら家に帰る。
 翌日、迷惑をかけたと思ったパルヴァネが、お詫びのペルシャ料理を届けに来る。オーヴェとパルヴァネ。生き方も考え方も違う二人だったが、この美味しい手料理をきっかけに、思いがけない友情が芽生えていく。頑固な態度は相変わらずだが、近所同士のあたたかい交流に心を溶きほぐされていくオーヴェ。やがて、オーヴェは妻・ソーニャとの出会い、そして、妻と自分の人生を一変させたある出来事について語り始めたのだった…。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★

感想
 公式サイトに載っている紹介文がかなり詳細ですが、書かれているのは前半部分で、後半部分については全く書かれていません。

 簡単に紹介すると、「警察気取りかよ!」と言われるくらい暮らしている地区の自治に厳しく、毎日地区内を歩き、放置自転車があればすぐに撤去し、車の進入禁止場所に車が入ってくれば身を挺してでも止めようとする。
 43年間務めた仕事を突然解雇され、自死しようとしたら、隣りにペルシャ系難民のパルヴァネ(女性)一家が越してきて、遮られてしまう。
 その後も何回か自死しようとする度に何かトラブルが発生し、亡き妻の元に行くことが出来ずに過ごしている内に、パルヴァネと親しくなっていき、オーヴェが何故今のような生活を送っているのか、過去が明らかになっていきます。

 最初は、面倒なおっさんだな、としか思わないのですが、本当にシンプルに、「今のその人の姿」というのは「色んな過去」を経たからなのだということに気付かされます。

 そして、良かったと言って良いのかわかりませんが、ラストも印象的でした。
 悲しい結末ですが、単に悲しいだけでなく、隣人との関わりがあったからこその結末になっていて、ちょっとだけ、やっぱり人間って良いな、と思わせてくれる作品でした。

キム・スヒョン『私は私のままで生きることにした』

 以前紹介した小説チョ・ナムジュさんの『82年生まれ、キム・ジヨン』と同じ時期に知り、気になっていた本です。
 読もうか(買うか)悩んでいたのですが、友人たちとの待ち合わせ場所に早く着き、目の前にあった小さな本屋さんで積まれていたので、パラパラとめくってみたら、これは読むしかない!と思い、読みました。 

 


私は私のままで生きることにした

 

私は私のままで生きることにした(キム・スヒョン 著 / 吉川南 訳 ) | ワニブックスオフィシャルサイト


日韓で85万部突破の話題のイラストエッセイ『私は私のままで生きることにした』|特設サイト

 

内容紹介(オフィシャルサイトより)
韓国で70万部突破のベストセラーエッセイ
日本でも大反響!発売から5カ月で18万部突破!(2019年7月現在)
「いつも、人からどう見られるかを気にしていた」
「これから私は、私のままで生きることにした」
幅広い世代が共感!
“私のままで生きることにした”人、増えてます!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人と比べて、何になる?
誰かと比べて生きるなんて、もうやめたらいいよ。
韓国の若者を中心に大反響!
世界にたった一人しかいない“自分”を大切にして生きていくために、
忘れないでほしい70のこと。
✓自分からみじめになってはいけない
✓誰かの期待に応えようとしてはいけない
✓自分以外の何者かになろうとしない
✓自分が輝ける場所で生きていく
✓通りすがりの人に傷つけられてはいけない
✓すべての人に理解されようとしなくていい etc.

勝手に五段階評価
★★★★★

感想
 付箋を貼っていたら、ほぼ全部のページが付箋付きになりました。
 なので、この本に関してはどこを引用したらいいのかも、自分でもわからないので、文章を引用せずに紹介してみたいと思います。

 この本を読み終わって、何が僕に響いてきたのかというと、僕自身の中にあった(ある)様々な「呪い」が解かれていっていたからなのだと思います。
 例えば、「人生から数字を消そう」という文章が載っています。

 僕は今、35歳で、「35歳の男性像」に日々さらされています。
 「35歳の男性」が稼いでいる金額よりも遙かに低い稼ぎで一人暮らしています。
 職場がまさにオフィス街という場所だということもありますが、日々「35歳の男性」であること、そしてその中でも「低賃金」で生活していることを直視せずにはいられない環境にいます。

 けれど、それは、ただの「呪い」で、しかも、誰かから強制されたわけでもなく、ただ自分が周りの人と比べてしまっていることからの「呪い」です。
 そういう、自分の中にある「呪い」が、この本を読むことによって、一つひとつ解かれていくような感覚を覚えました。

 僕の中にあった、年齢や年収という数字はただの「呪い」で、自分を含めて誰からも求められているものでもないことに気付くことが出来ました。

 こんなにこの本の文章が響いてきたのは、僕がちょうど「自分が本当にやりたいこと」を模索している所だからなのだと思います。
 とにかく、生活を安定させなければならないと思い、「正社員」をめざし、「正社員」になりました。

 けれど、正社員になったは良いけれど、自分の年齢や年収で他の人たちと比べてしまう自分がいる。
 他の人に早く追いつかないとと焦る。
 早く追いつこうと勉強することは悪いことじゃないかも知れません。
 けれど、それが「本当に自分のやりたいこと?」と聞かれると、「No」としか言えない現実もあります。

 じゃあ、自分がやりたいことって何?と、ふと(正社員になれたからこそですが)立ち止まって考えたとき、あぁ、これじゃないな、と気付きました。
 そういう情況にあったので、この本に載っている文章の一つひとつが自分に染み渡ってきたのだと思います。

和山やま『夢中さ、君に』

 先日紹介した奥田亜希子さんの『心臓』と同じく、アフター6ジャンクション(ラジオ番組)でトミヤマユキコさんが紹介されていた作品です。
 

www.tbsradio.jp

 


夢中さ、きみに。 (ビームコミックス)

 

夢中さ、きみに。 和山 やま:コミック | KADOKAWA

内容紹介KADOKAWAより)
気になる君はうしろの席に――。
古屋兎丸先生も夢中!?
「ずっとワヤマさんのツイッターピクシブで漫画やイラスト拝見してました。実は隠れファンなんです!古屋兎丸
WEBなどで噂の作品たちが待望のコミックス化。
話題の作品「うしろの二階堂」は全ページ加筆修正のうえ、30ページ以上の描き下ろし続編を収録。

勝手に五段階評価
★★★★★

感想
 面白かったです。
 短編集ではあるものの、それぞれの作品に少しずつ繋がりがあり、それも作品の良さになっています。

 この作品での登場人物たちは高校生たちですが、スクールカーストとかも含まれつつも、中学、あるいは以前の学校では全く違う姿を見せていた、周囲からすれば全く違うように見えていたという人物だったり、学年が上がって同じクラスになり警戒していた人物が、実は入学当初に影響を受けた人物だったり。
 本人たちはそれに気付いていないけれど、少しずつお互いが影響を与え合っている姿というのが、自分が高校生ではないからこそ、響いて来ました。

 高校生くらいだとまだまだ出会っている人の数は多くないので、必然的に色んな影響を受けているものだと思います。
 しかも、その影響を受けた人物と再会する機会も多い。

 大人というか学校以外の場に行くと、影響は受けたとしても、もう一度会いたいなと思っていても、1回しか会う機会がなかったり、親しかったはずなのにいつの間にか疎遠になってしまうことがあります。

 それはそれで、イヤな奴、嫌いな奴と一生関わらなくて済むという良さもあるのですが、だからこそ高校生を描いていると言う点を含めてとても優れた作品だと思いました。