映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

逢坂みえこ『プロチチ』

またまた当たりましたので、ご報告します。

今回当たったのはこちら↓

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逢坂みえこ『プロチチ』という漫画です。

どこで当てたのかというと、パパスイッチという、ニフティがやっているコミュニティサイトです。

出版イベントで、作者の逢坂みえこさんやファザーリング・ジャパン代表の安藤さんらのトークショー(?)みたいなものがあったそうで、その記念に逢坂さんのサイン入り単行本をプレゼントというものでした。

普段は漫画雑誌『イブニング』に掲載されているようですが、僕は読んだことがないので、どんな内容なのか全く分からなかったのですが、タイトルに惹かれて応募しました(プロチチ=プロの父親)。

それが運良く当たったということで、届いたので、早速読んでみました。

(以下、ネタバレありますので、知りたくないという方は飛ばして下さい。)

主人公が発達障害アスペルガー症候群の疑いがあり、その特性から会社勤めが出来ないということで、子どもも生まれたので、妻の仕事復帰と共に専業主夫になったというものでした。

子育てのことに関しては、一応、僕も3人の子どもを育てているので、「そうそう、こういうのある(あった)んだよね。」と共感して読めました。

でも、これを読んでいて、ちょっと懸念するのは、「主夫=会社勤めが出来ない人」とならないだろうか、ということです。

この漫画では、「会社勤めは出来なかったけれど、プロの父親なんだ」という方向に向くわけですが、「主夫=一人前ではない」というようなイメージが今すでにあるように思うので、それを助長してしまうのではないか、と思いました。

そもそも、女性の「主婦」も長い間、「楽な役割」とか、「誰にでも出来る」とか、やったこともない人たちの勝手なイメージで固められてきていたわけなので、あんまり変なイメージがつかないと良いな、と思いました。

あと、僕が日々感じている悩み(?)と同じだなぁ、と思ったのは、どんなに子どもたちの面倒を見ても、どんなに家事をこなしても、結局それは家庭(我が家の場合ツレ)でも、世間でもそれは「やって当たり前」と思われてて、当たり前だからこそ、何も言われず、だけどそれをこなして毎日過ごしていると、「何かの役に立っているんだろうか?」と思うことがあります。

漫画の中では「今日僕がやった事といえば おむつ洗いだけだ」という言葉が出てきます。

「おむつ洗いだけ」という日はさすがに無いものの、その気持ちはよく分かる気がします。

だからなのか、主夫の人たちも結構、「兼業」の人がいるのかも知れません。

まぁ、特に子育て主婦・主夫にとって、子どもが育った後のセカンドライフを考える上でも何か「仕事」ではなくても、主婦・主夫以外の生き方を持っているのは良いと思っています。

あと、気になったのは、主人公がアスペルガー症候群だという設定です。

アスペルガー=会社勤めが出来ない」、「主婦・主婦=会社勤めが出来ないアスペルガーでも出来る」とならないだろうか、と心配です。

アスペルガーの人が身近にいる人は分かることだと思いますが、アスペルガーでも、本人の十分な理解と周りの人の正しい理解があれば、会社勤めも普通に出来ますし、実際多くの方はアスペルガーでも何の問題もなく、というか人並み以上に働きが評価されている方も多くいます。

そして、何度でも繰り返しますが、主婦・主夫は「とりあえず」とか「他のことが出来ないから」といった理由で簡単にこなせるものではないです。

この主人公の場合は、「たまたまアスペルガーだった」という風に丁寧に描かないとこういうイメージとか偏見とかが助長されてしまう気がしました。

長くなりましたが、ここまで書いたら、もう一つ。

「主婦・主夫なんて簡単な仕事、誰にでも出来る」と考えている人が多いようですが、ちょっとそれを置き換えて、「会社員なんて簡単な仕事、誰にでも出来る」と言うことがあるでしょうか。

会社員といっても、色んな会社があって、色んな部署があって、色んな仕事がある。

それと同じで、主婦・主夫といっても、色んな家庭があって、色んな家族があって、色んな仕事があります。

なので、一口に「主婦・主夫は○○」ということを言うのはあまりにも短絡的で想像力に欠けると思っています。

勢い余って、漫画から思ったこと、考えたことをつらつらと書いてしまいましたが、こういうことをいろいろ考えさせられたという意味でも、今後も読んでみたいと思います。