映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「あさイチ―出生前検査 私の選択」

もう、10日くらい前に放送されたものですが、NHKの「あさイチ」で出生前診断についてやっていたので、録画して見てみました。

(→「あさイチ―出生前検査 私の選択」)

この番組は、はっきり言って、ひどすぎました…。

(僕がこれを見ながら、ぶつぶつと何事かを言いながら怒っていたので、子どもたちは自分たちが何かしでかして僕を怒らせてしまったと思わせてしまったようです。)

さて、何がひどすぎたのかというと、結論が結局の所

「当事者が悩んで下した決断なんだから、他人がどうこう言うべきじゃないし、その決断で良いんだ」

と、いうことだったことです。

そもそも、「あさイチ」で何故「出生前検査」についての特集がなされたのかと言えば、アメリカで既に始まっていた妊婦の血液を採取して、胎児の「染色体異常」を診断する方法が日本でも可能(実際には、採取した血液をアメリカに送って、結果が日本に来る)になったからです。

その診断方法を使えば99%の確率(と検査機関が主張している)だということで、日本で本格的に導入されれば、この検査をする人が増えて、堕胎(人工妊娠中絶)をする人が増えるのではないか、と懸念されています。

なのに、この番組では、コメンテーターもメールやファックスでの視聴者のコメントもみんな「他人がとやかく言うことではない」ということに終始していました。

もし、こういうことを言うのであれば、そもそも法律的には、「染色体異常」を理由にしての堕胎が認められているわけではないこともちゃんと取り上げるべきだと思います(現状は、母体の負担がかかりすぎるという理由で堕胎が行われています)。

「他人がどうこう言うべきことではない」という主張には、ほとんどの場合「その子を育てるのは自分たちなのだから」という言葉が付いてきます。

だから、「他人がどうこう言うべきではない」と。

この意見が僕には、理解出来ません。

「しょうがい」があろうが、なかろうが、子どもは自分たちが育てるものなのか?と。

長くなってしまうので、理由を連ねることはしませんが、僕は、そうではないと思っています。

こういう意見に共通する意見としては、「他人に迷惑をかけないで生きる」というものがあると思います。

僕はこれに関しても「他人に迷惑をかけないで生きていくことなど不可能」だと思っています。

しょうがい児・者を育てにくいのならば、その「いのち」を殺すことで解決をするのではなくて、社会や環境を変えることで育てやすくする、親(保護者)の負担を軽減するようにする、という方向に進んで欲しいと思います。

それにしても、NHKはEテレで「バリバラ」や「ハートネットTV」など、いわゆる「福祉」に関して、かなり熱心に取り組んでいるのに、こういう相反する番組が平気で流されていることに、すごく残念な思いがします。

せっかく熱心に番組を作っている人たちの努力が、こういう(「あさイチ」)番組を1回流すことで、あっという間に水疱に帰してしまっているように思います。