映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ』

先日、ツレが子どもたちと図書館に行って借りてきた本の中に、こんなものがありました。

 

戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ―作者レイ夫妻の長い旅

 

NHK(Eテレ)でも放送しているし、オリジナルだけでなく、テレビシリーズの絵本も出版されているので知っている人も多いかと思いますが、『おさるのジョージ』(邦題は『ひとまねこざる』)の作者であるH.A.レイ夫妻の物語です。

 

アメリカに渡って最初に出版された『ひとまねこざるときいろいぼうし』(ひとまねこざる=おさるのジョージ

ひとまねこざるときいろいぼうし

 

この絵本『戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ』はH.A.レイ夫妻が作ったものではなく、2人の足跡、特に、戦争に巻き込まれ、どのようにしてアメリカに渡ったのかを、「ふたりがナチスの侵攻をのがれてアメリカに渡ったことを知っていましたが、波乱に満ちた旅の詳細となると、誰も知らないようでした。」ということから、調べ、書かれたものです。

 

僕自身は『おさるのジョージ』の著者、H.A.レイ夫妻がドイツ系ユダヤ人だったことすら知らなかったので、とても興味深く読みました。

また、主軸は戦争からどのように逃れたかになっていますが、なぜ「おさる」なのか、なぜ「つばの広いぼうしのおじさん」なのか、その理由もこの絵本から読み解くことが出来て、とても面白かったです。

 

ですが、一つだけ難点(?)を上げるとしたら、幼児はもちろん、小学生でもちょっと時代背景が難しいところです。

戦争の理由、状態はもちろんのこと、ヨーロッパの地理が理解できていないと、逃げている途中、どこを通っているのか子どもには理解するのが難しいように感じました。

 

でも、『おさるのジョージ』という有名な物語の著者だからということを抜きにしても、ユダヤ系ドイツ人が時代にどのように翻弄されたのか、それを知るとても良い本になっていると思います。

なによりそれが可能だったのは、H.A.レイ自身が日記を残し、手紙を多くやりとりしていたからとのことです。