「フルートベール駅で」
2014年もそろそろ終わってしまうので、今年観た映画についてどんどん書いていきたいと思います。
2014年はアメリカでの黒人差別事件とその反発が日本国内でも珍しく大きく報道されたように思います。
2014年だけでも大きく報道されたもので、検索するとこんな感じで出て来ます。
ファーガソン事件――
アメリカ・ミズーリ州黒人青年射殺事件 拡大する暴動とこれまでの経緯
ニューヨーク絞殺事件――
黒人男性エリック・ガーナーさんを窒息死させた白人警官も不起訴 NYに怒りの声渦巻く【現地レポート】
映画の題材になっているのは、2009年に起きたカリフォルニア州オークランドのフルートベール駅での警官による黒人青年射殺事件です。
全米で大問題となった「一人の黒人青年の死」を描いた映画『フルートベール駅で』が公開に
80分ちょっとの短い映画ですが、2009年1月1日に警官に射殺されたオスカー・ワイルドさんが、2008年12月31日から1月1日に射殺されるまでの2日間(実質丸1日)の様子を描いています。
この映画と上述したまとめでしかこの事件について分からないので、映画で描かれているオスカーさんが生前の彼にどれほど近い姿なのか分かりません。
それを頭に入れつつも、映画で描かれる彼は、麻薬の売人という過去を持ちながらもどうにか更正しようとし、3歳の娘を大切にし、決してけんか腰ではなく初対面の人ともコミュニケーションを取れる【好青年】に見えました。
オスカー・ワイルドさんの殺されるまでの1日を丹念に描いてはいるものの、この映画を観ている人たちの多くが知りたいと思う「何故彼は殺されなければならなかったのか?」ということは分かりません。
それは、映画を作った人たちの責任でもなんでもなく、たぶんこの事件に直面した人たちすべての人が抱いた思いなのだと思います。
「何故彼は殺されなければならなかったのか?」
1人の白人警官が拳銃を抜き、殺した様子はその場にいた複数の人が撮影をしていたので、上述の事件のように【不起訴】にはならなかったものの、懲役は2年、そして、実際には11ヶ月の服役で釈放されています。
「何故彼は殺されなければならなかったのか?」
この問いには決して答えは出ませんが、この映画を観ている人たちに突きつけるのは、黒人への差別があるということでしょう。
白人の中にも黒人であるオスカーに特に隔たりなく接する人が何人も出て来ますが、電車内でケンカを売ってきた白人とその騒ぎを聞きつけて来た警官は違ったということは明らかです。
以前書いた「それでも夜は明ける」は実はとはいえ【過去の話】でしたが、この「フルートベール駅で」はつい5年前(オバマさんが大統領になった年)のことです。
だからこそ、【過去の話】ではなく、【今・ここ】にある話として、現実を突きつけてきます。
また、【アメリカでの黒人差別】という遠い話でもなく、ヘイトスピーチが社会問題化したこの日本においては、【日本での外国人(特に中国・朝鮮半島系住人)差別】という文脈で観ることが出来るように思います。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★
2014年に観た映画ランキング
1 「フルートベール駅で」
4 「家路」
6 「ネブラスカ」
7 「小さいおうち」
8 「とらわれて夏」