映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「博士と彼女のセオリー」

スティーブン・ホーキング、という名前を聞いて、何を思い浮かべますか?

 

僕の場合、真っ先に思い浮かぶのは、「車イスに乗っているおじさん」といった感じです。

何か難しいこと(理論)を解き明かしたりしたのだろうけれど、よく知らない、というのがホーキング博士を最初にテレビで観たときからあまり変わっていません。

 

その、ホーキング博士が書いた「難しそうな本」に手を出そうとするのはかなり勇気がいるので、彼の物語の映画を観てみました。

 

博士と彼女のセオリー (字幕版)

 

ホーキング博士がまだ学生だった頃から物語は始まり、後に妻(その後離婚も)となるジェーンとの出会いから、スティーブン・ホーキングを一躍有名にした、「ブラックホール特異点定理」のアイデアがひらめき、発表するまでや、その途中でALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症するなど、次々と色んな出来事が描かれていきます。

後半になると少しトーンがゆっくりになり、ホーキングが家族(というより妻)以外の介護者を付けることを拒んだために、ジェーンが行き詰まっていく様子や、友人(後にジェーンと結婚)に頼っていく様子、そして、ホーキング自身も介助者と親密な関係になっていく様子が描かれていきます。

 

この物語、僕の中でそこまで響かなかったのは、「世界でとても有名な人物」、あるいは「ALS患者」が主人公ということ以外は、「ありふれた」物語に見えたからです。

家族内(夫婦間)の困難や、それによる浮気(というとまるで悪い印象を持たせてしまいますが、それが救いになる場合もあるということをこの映画では描いているように思います)、そして、別れ、という出来事です。

 

こういう出来事はどの世界でも、どのような人たちでも起こりえることなのだ、ということを示すにはとても良い参考(?)にはなりますが、逆に言えば、特異な点はそこまでないかな、という印象も残しました。

 

が、これをある有名な物理学者、あるいはALS患者の物語ではなく、夫婦の物語として観ると、離婚しても尚親しい関係を続けているスティーブンとジェーンを夫婦間に起きる問題の参考にするのはとても良いと思います。

他者が家庭に入ることを良しとするスティーブンの姿や、同じく夫と親しい関係を築こうとする他者を受け入れるジェーンの態度は、苦悩もあるのかもしれませんが、「一夫一妻のみ」を家庭のあり方として受け入れることのできない人たちとは一線を画しているように思います。

 

もちろん、それは夫婦が望んだことではないとしても、結果としてそのような家庭になり、離婚したけれど、親しい関係を今も尚築いているということは、夫婦というものを考える上で、大きなヒントになるように思います。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

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51 「マイ・ライフ・メモリー」 / 52 「光輪の超魔神 フーパ」(ポケモン) / 53 「見えないほどの遠くの空を」 / 54 「ノア 約束の舟」