映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「6才のボクが、大人になるまで」

「観たいなぁ、観たいなぁ」とこれほど長い間レンタルになるのを待っていた映画は多分ほかにないのでは、と思うほど待った作品がやっと届きました。

 

6才のボクが、大人になるまで。 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

 

アメリカでこの映画が完成し、映画祭で公開されるというときから「観たいなぁ」と思い、日本で公開されたのはそれから1年弱。

そして、そこから、さらに半年以上かけてレンタルが開始されたので、2年弱くらい待ちました。

 

まぁ、でもそのくらい待ったといっても、映画自体も撮影に12年間を費やしているので、それに比べると「待ち疲れた」というほどでもないのですが。

 

さて、どんな作品かというと、日本のタイトルで分かると思います。

「6才の僕(主人公)が、大人(大学生)になるまで」に起こる、主に家族や友人、恋人との話です。

(ちなみに英語タイトルは「Boyhood」です。

日本語タイトルの方が説明しすぎのような気もしますが、まぁ、これはこれでも良いのかも、とも思います。)

 

撮影に12年間を費やし、しかもそれがドキュメンタリーではない、ということに、情熱はもちろん、新鮮な印象を受けました。

よくある「老けメイク」や子役との使い分けが行われることもなく、主人公のメイソンが少しずつ大人になっていく様子が体型や仕草から分かるだけでなく、母親や実父も実際に老け、体型が崩れたり、貫禄が出てくるのは、どんなメイクでもできませんし、これは本当に年月を重ねないとできないことなので、物語のリアルさと、映画の作り方としての新鮮さを感じました。

 

映画のストーリーとしては、内容にもう少し深み、というか、考えさせる部分があったら良かったのかも、と思いました。

アメリカでも概ね好評だったようですが、少しだけあった批判的な意見でも「十分に考えさせることができていない」という評価があったようで、僕もそう思いました。

 

映画では、シングルマザー、親のキャリア、実父との関係、再婚、ステップファミリー、未成年の飲酒、ドラッグ、セックスというものが出て来ます。

12年という年月を通すことで、これらの1つ1つがものすごく大きな出来事として取り扱われることなく、それぞれがどのように変化していくのか、どのようなタイミングで現れてくるのか、ということをごく自然な感じで取り扱われていることに好感が持てました。

 

そのときは【問題】だと感じられても、年月が経つにつれて、もはや【問題】としては捉えられなくなっていたり、そもそもその【問題】がなくなっていたり。

 

また、その時々で【問題】に直面したとき、決してベストとは言えないけれど、それしか選ぶことしかできなかった、というときでも、「それでもなんとかなっている」というのを12年という決して短くない年月で描いていることで、僕はなんかとても人生への勇気みたいなものをもらった気がします。

 

そのときそのとき、決してベストではない選択、むしろ、それしかない選択をしたけれど、どうにか少しずつでも前に進むことによって、ベストとは言えないけれど、でも、最悪でも悪くもない人生を歩んでいる。

人生ってそういうものなのかも知れないな、と思ったのでした。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★★

 

2015年に観た映画ランキング

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11 「アルマジロ」 / 12 「アメリカン・スナイパー」 / 13 「アデル、ブルーは熱い色」 / 14 「小野寺の弟 小野寺の姉」 / 15 「かぐや姫の物語」 / 16 「パラダイス:愛」 / 17 「ブルージャスミン」 / 18 「プロミスト・ランド」 / 19 「ゴーン・ガール」 / 20 「ジュラシック・ワールド」

 

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