『コウノドリ』12巻
水木しげるさんが亡くなったという知らせを受け、水木作品をもう少し家に置いておいても良いかも、と思い本屋さんに行ったら、また新刊が出ていました。
これで三ヶ月連続出版ということになるようで、前回までの10巻、11巻は「薄くなった?」という印象でしたが、今回の12巻は「また戻った?」という印象でした。
ちなみに、水木しげるさんの作品で手元にあるのは『総員玉砕せよ!』で、冒頭から始まる慰安所に並ぶ兵士たちの話にショックを受けたのを覚えています。
水木さんの訃報に際し、妖怪もそうですが、やはり戦争に関する作品もとても重要だという意見を読み、他の作品を探しましたが、残念ながら書店にはなく、ネット書店でもどこも在庫なしや発送まで数週間という感じだったので、読むことは出来ませんでした。
さて、水木しげるさんのことをつらつら書いてしまいましたが、今回は『コウノドリ』です。
今回のテーマは【妊娠高血圧症】、【アレルギー】、【転科】というものになっています。
今まで読んできた流れの中で重要な転換としては下屋医師の転科ということになるのでしょうが、読んでいてもやもやを感じたのはこの転科に関してです。
なぜなら、患者さんと胎児が死んでしまう、ということが起きたからこそ、下屋医師が転科を考えることになるのですが、下屋医師に焦点が当たりすぎていて、患者さんと胎児という家族2人を亡くした夫の気持ちやその後の生活について全く触れられていなかったからです。
医師の物語でありながら、患者や胎児、赤ん坊の物語でもあるというところに魅力を感じていたので、家族を突然2人も失ってしまった夫の悲しみが一切触れられていない、ということにもやもやとした気持ちが残ってしまいました。
また、転科ということに関しては、医師の世界についてはよく分からないのですが、「こんなに簡単に転科できるものなのだろうか?」と思いました。
教員と違い、医師の場合は医師という免許なので、専門以外の科を受け持つことも可能なのかも知れませんが、教員で言えば小学校の免許であれば、(特別な場合を除き)中学校、高校では教えられませんし、同じ中学でも数学の免許しかない者は(特別な場合を除き)社会を教える事は出来ません。
まぁ、それが良いのか、悪いのか、という判断をしようということではないのですし、作品中でも転科の難しさが描かれますが、それでも「そんなに簡単に転科ってできるものなの?」と思ってしまいました。
街にある個人病院でいくつも科を掲載している病院ほど「この医師の専門は結局何?」と思ってしまう自分なので、思ったことなのかも知れませんが…。