「沖縄うりずんの雨」
DVDのリンクが見つからなかったので、Amazonで本扱いになっていたこちらをとりあえず貼っておきます。
とても良い映画でした。
この映画はなるべく多くの人に見てもらいたいので、とりあえずYouTubeに上がっていた予告編を貼っておきます。
沖縄を題材にしたドキュメンタリー映画は今までも沢山撮られてきたと思いますが、沖縄についてよく知らないという人にも、何度も訪れているし、歴史も分かっているという人にもお勧め出来る作品です。
ちょっと長いので、そのまま授業中に使うことは難しかもしれませんが、教材としてもとても良いと思います。
撮ったのはアメリカ人映画監督のジャン・ユンカーマンさんです。
ユンカーマンさん自身が若いときから日本にいたという経験もありますが、日本人が沖縄を語る時のちょっと極端な印象を感じることもなく、でも、アメリカ人という当事者でもあるという、とても抑制の効いたバランスの取れた内容になっていると感じました。
それは、映画に出てくる人が沖縄の人だけでないということに大きく反映されていました。
沖縄を語る時のその人が沖縄の人であることは当然のことなのですが、この映画は沖縄戦とその後の基地を巡る問題をテーマにしているので、アメリカ人も語ることになります。
アメリカ人が語る沖縄（特に基地に関する問題）で印象深かったのは、沖縄に派遣される兵士がどのような若者たちなのかということについての言及でした。
それは、「兵士になるまでは生まれ育った街から出たことがないような１８～２０歳の若者」であり、何も知らないが故に、「現地（沖縄）はみんな歓迎している」だとか、「兵士と同じ数だけ売春婦がいる」とかのデマもまかり通るということです。
沖縄での米兵による性暴力は長年大きな問題とされてきていますが、米軍内での性暴力の問題がクローズアップされてきたのは最近のこと（それまでは公に出来なかった無数の被害者がいた）、という指摘は、沖縄というミクロの問題だけで見たときには多くの人が気づかなかったり、あえて触れなかったようにも思えます。
沖縄で（主に）女性たちが米兵によって性暴力被害にあっているということは、米軍内でも数多く起きているのでしょうし、他の基地やその周辺の地域でも起きていると類推できます。
もちろん、沖縄の場合はアジア人蔑視という違う視点も入って来るとは思いますが、それだけでこんなに多くの性暴力が出てくるとは考えられません。
映画の中では遺体の写真も沢山出てくるので誰かに見せるのには（特に子ども）配慮が必要かも知れませんが、沖縄の基地問題を考える（そして日本の問題、日本とアメリカの問題、アメリカの問題）ことを始める、とても良い作品になっていると思います。
勝手に五段階評価（基本的に甘いです）
★★★★★
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