映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「愛とセックス」(Sleeping With Other People)

日本語タイトルはかなり見るのを躊躇してしまうような(率直に言えば全くセンスのない)感じだったのですが、Amazonのプライム・ビデオ(プライム会員だと無料で見られる)で表示されたので見てみました。

 

愛とセックス

 

調べてみたら日本では劇場公開されていなかったので、何でこんな日本語タイトルを付けたのか謎なのです。

劇場公開で多くの人に見てもらいたいということで、原題とは全く違う目に付くタイトルを付けることはあるとは思うのですが…。

原題は「Sleeping With Other People」、訳すと「他の人(たち)と寝ること」といった感じでしょうか。

 

内容は、まず12年前の出来事から。

学生寮で出会ったレイニーとジェイクがお互い性体験がなかったということが分かり、星空を見上げながら、寮の屋上にあるソファでお互い初めてのセックスをする。

そこから、12年後、レイニーは、婚約者がいるにも関わらず、他の男とセックスしたことを自白し、激怒した婚約者に婚約破棄される。

ジェイクは、恋人の親友と寝たことがバレ、車にひかれてしまう。

現状を変えようと(?)、セックス依存症者のミーティング(Sexaholics Anonymous)に行った2人が偶然再会。

デートしたりするものの、「2人の間ではセックスなしね」という約束をしつつどんどん仲良くなっていく2人。

セックス抜きと最初の方で決めていたからか、どんな人とデートしたか、とかデートの内容とか、隠すことなく話していく。

その間、レイニーは医学部を受験していて、無事に合格。

ジェイクも恋人が出来、レイニーが大学のあるミシガンに引っ越していって離ればなれに…。

 

主人公2人がセックス依存症者の会で出会っているということから、性的なシーンもあるのですが、いやらしい感じは全然ありませんでした。

むしろ、性的描写も「ネタ」として描かれているので(その「下ネタ」自体が受け付けない人もいるかとは思いますが)、基本的に笑える感じでした。

 

ラスト近くのジェイクの行動にはすっきりしたし、「こういうクズってホントにいるんだよな」と良かったのですが、本当のラストは、「こうなってしまうのか…。」と僕は残念に感じました。

まぁ、一般受けするようなラストではあるのですが。

それに、一応、劇中でレイニーの友人が言う「男女に友情なんて存在しない」という言葉への答えにもなっているのですが。

 

で、この映画で一番良かったと僕が思ったのは、ジェイクがデートした女性についてレイニーに話す場面です。

 

ジェイクが

 

「その子、黒人なんだけど」

 

というと、レイニーが

 

「『黒人』ってわざわざ言う必要はあるの?それって差別じゃない?」

 

というところ。

なんか僕も特に何も疑問に思わずにそういうことを言ってしまいそうなのでドキッとしました。

誰かのことについて話すとき「わかりやすく伝えるために」使う描写が本当に必要なことなのか、わざわざ言わないといけないことなのか。

「この間、○○で出会った女の子とデートしたんだけどさ」

と言えば済むのに

「この間、○○で出会った黒人の女の子とデートしたんだけどさ」

と。

わざわざ「黒人」というのは、それが自分(あるいは自分たち)にとって【特別なこと】だからだったりします。

その自分にとって【特別なこと】の中には、差別が潜んでいるのではないか。

そのことを教えてくれたのが、僕にとってこの作品が一番良かったところでした。

 

まぁ、主題とは全く違うことなので、下ネタが話されてるのとか、性的描写とか、ラストの「やっぱり」的な終わり方とか、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、僕は楽しめました。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

2017年に観た映画ランキング

 

1 「この世界の片隅に」 / 2 「花様年華」 /3 「愛とセックス」(Sleeping With Other People)