映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『さよなら、カルト村。』

以前紹介したことのある本の続編が出ていて(「4月に読んだ本」)、前作がとても面白かったので、続編も早速読んでみました。

さよなら、カルト村。

「カルト村」とあるのは、ヤマギシ会のことで、ヤマギシ会という名称が本文に出てくることは無いのですが、それでもヤマギシ会だということが分かります。

作者の高田かやさんは、年齢は多分僕より少し上で、両親がヤマギシ会だったので、子どもである高田さんとその妹もヤマギシ会で暮らしていたようです。

前作は小学生になるくらいまでの話でしたが、今回は中学生、高校生(実際には高校には行っておらず、そういう年代という意味)、そして「一般」(「一般社会」の意味)と呼ぶヤマギシ会を離れるまでの出来事が描かれています。

前作を読んでいればより分かり易くなるとは思いますが、丁寧に描かれているので、今作だけを読んでも良くわかるようになっています。

所々、高田さんのパートナーであるふさおさんが登場し、「それって○○ってこと?」と質問し、それに高田さんが答えるというところもあり、ヤマギシ会という宗教組織や、高田さん自身へ客観的視点を持ち込めているように思います。

高田さん自身がそもそも生まれがヤマギシ会で、離れて大分経っているようですが、嫌悪感のようなものを持っている訳でもなさそうなのが、良いなと思います。

もちろん、そこでの生活が「普通ではない」ということもパートナーのふさおさんの言葉から分かるのですが、それでも「そういうものだったから」という感じで嫌悪する訳でも、忌避する訳でもなく、「過去の出来事」として消化出来ているように感じました。

まぁ、それでもこういう場面↓を見るとなかなか受け入れられない人も多いような気がしますが、母体が宗教であったり、日本での一般的な生活スタイルとは異なっていても、「大人が子どもをコントロールしようとする」ということは、色んな形で行われているわけで、ここで描かれるやり方に嫌悪感を持つ人は、是非、自分たち大人が子どもをどのようにコントロールしようとしているかについて少し関心を持ってみてもらいたいな、と思います。

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あとは、サリン事件のことが描かれていて、さらっと流されてしまっているように僕は感じましたが、あの事件で各地の宗教団体が差別的な扱いを受けたり、ヤマギシ会も関連が疑われるということもあり、それが大きな影響を与えていたようです。

僕は地下鉄サリン事件の時が小学生だったので、リアルタイムで他の宗教へどのようなことがあったのか、肌感覚で知っているわけではないものの、あの出来事は大きな影響があったことは小学生でも分かりました。

その時高田さんたちにどのようなことが起きたのか、どのようなことを考えたのか、その後に村を出たとき関連して何か言われなかったかなど、もう少し知りたいな、と思いました。