「神様の思し召し」
自分でリクエストしてTSUTAYAディスカスで観た映画です。
原題 Se Dio vuole
製作年 2015年
製作国 イタリア
上映時間 88分
内容(公式サイトから)
今日も完璧なオペで、患者の命を救った心臓外科医のトンマーゾ。医師としては天才だが、傲慢で毒舌で周りからはケムたがられていた。ボランティアが趣味の妻との仲は倦怠気味で、お気楽な長女はサエない男と結婚。でも、頭脳明晰な長男が医学の道を継いでくれれば満足だ。
ところが、あろうことか医大生の息子が「神父になりたい」と宣言! 表向きはモノわかりのいいフリをして教会に潜入したトンマーゾは、息子がハデなパフォーマンスで人気のピエトロ神父に“洗脳”されているとニラむ。さらに、神父が実は“前科者”であることが判明。トンマーゾは、失業して無一文で妻からはDVを受け、もうどん底だと悩む信者を演じて神父に近づく。すると、親身になった神父に家族に会いに行くと言われてしまい、追い詰めるはずが追い詰められるトンマーゾ。果たして、神父の正体は? 崩壊寸前の家族の行方は?
感想
久しぶりに声を上げて笑いました。
個人的に印象に残ったのは、トンマーゾが「神」の存在を全否定しているところ。
患者の家族が手術を終えたトンマーゾの前で「奇跡が起きた」と言うと、「奇跡ではありません。私の力です。」と言ったり、医学生の息子アンドレアが「大切な話がある」と切り出したときには、「息子はきっとゲイだ」と冷静に受け止めるように家族に伝えておくものの、実際、アンドレアの告白が「神父になる」と切り出したときには、ものすごいショックを受ける。
神(あるいは何かしらの超越的な存在)というものをこれほどきっぱりと否定する人も、ローマ・カトリック教会のお膝元であるイタリアでもいるということに僕自身がカルチャーショックを受けました。
ローマ・カトリック教会の信者ではなくても、「なんとなく神という存在は信じている」という人が多いのかな、と思っていたので。
でも、トンマーゾの「神」という存在への否定は、全くいやらしい感じはしませんでした。
私怨があった訳でもなそうですし、単に自分の力を信じていて、他の存在による、特に見えない力を信じてはいない、という自分自身への自信や肯定から来ているものだと思いました。
また、息子の神父になりたい、という希望をどうにか「穏便に」やめさせるために、ピエトロ神父に近づき話をしていく中で、何故突然神父になろうと思ったのかが語られつつも、決してトンマーゾは深く理解しているようには見えません。
でも、ピエトロ神父もそれで良いと思っているし、トンマーゾも深く理解は出来なくても、ピエトロ神父の生き方を否定もしません。
何かを信じること、特に「神」というような人間からの一方的に信じる場合には、どうしても客観的に考えると理解出来ないことも多いのですが、神を信じていないトンマーゾ含め、「それでも良い」と了解しているところに2人のつながりを感じました。
最後の場面は突然の出来事ですごく驚いたのですが、トンマーゾは自分の力に自身を持っているけれども、だからこそ、出来ないことを見極めてもいて、信頼できる仲間に任せつつ、自分自身が今できること、やらなくてはいけないことに向かっていくというのが、とても良いな、と思いました。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
2017年に観た映画ランキング
1 「さとにきたらええやん」 / 2 「この世界の片隅に」 / 3 「シチズンフォー スノーデンの暴露」 / 4 「帰ってきたヒトラー」 / 5 「奇跡の教室」 / 6 「ミッドナイト・イン・パリ」 / 7 「神様の思し召し」 / 8 「her/世界でひとつの彼女」 / 9 「if i stay」 / 10 「ハドソン川の奇跡」
11 「ラ・ラ・ランド」 / 12 「しあわせのかおり」 / 13 「REDリターンズ」 / 14 「 愛しき人生のつくりかた」 / 15 「ディーパンの闘い」 / 16 「花様年華」 / 17 「EDEN/エデン」 / 18 「17歳」 / 19 「愛とセックス」(Sleeping With Other People) / 20 「後妻業の女」
21 「あと1センチの恋」 / 22 「海難1890」 / 23 「ホテルコパン」 / 24 「ロング・トレイル!」 / 25 「ワールド・ウォーZ」 / 26 「惑星のかけら」 / 27 「麦子さんと」 / 28 「超高速!参勤交代 リターンズ」 / 29 「カケラ」 / 30 「スプリング・ブレイカーズ」