「ニュースの真相」
(多分)ツレがリクエストし、TSUTAYAディスカスで送られてきた映画です。
ニュースの真相(公式サイト)
作品データ(映画.comより)
原題 Truth
製作年 2015年
製作国 オーストラリア・アメリカ合作
上映時間 125分
映倫区分 G
ストーリー(公式サイトより)
ジョージ・W・ブッシュ米大統領が再選を目指していた04年。
アメリカ・CBSニュースのベテランプロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、伝説的ジャーナリスト、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)がアンカーマンを務める番組で、ブッシュの軍歴詐称疑惑を裏付けるスクープを放送し、センセーションを巻き起こした。
だが、「新証拠」を保守派のブロガーが「偽造」と断じたことから、CBSは激しい非難を浴びる。同業他社の批判報道もとどまるところを知らず、ついに上層部は事態の収束を図り、内部調査委員会の設置を決定。そのメンバーにはブッシュに近い有力者も含まれている。肝心の軍歴問題は取材打ち切りとなり、もはや疑惑は存在しないも同然だった。
メアリー、ダン、そして取材チームは会社から切り捨てられるのか? 出来レースのような委員会との闘いを前に、メアリーは勇気を奮い起こす。圧力に屈することなく、真実を伝えることを使命とするジャーナリストとしての矜持と信念を示すために―。
感想
実話を元にしているようですが、この映画の評価はアメリカ合衆国民であるかどうか、(ブッシュJr.再選時)ブッシュJr.支持者かどうか、ジャーナリズムにかかわっているかでかなり変わってくるのではないかと思います。
ブッシュJr.の軍暦がどのようなものであったのか、そもそも盲目的にブッシュJr.を指示している人にとってはそんなことはブッシュJr.の再選を阻止しようとする「敵」によるもので、真実かどうかは関係がありません。
そして、アメリカ合衆国民でなければ、一番重要なのは、次の大統領が「誰なのか」ということであって、そのなかでどのような報道がされたのかなどあまり興味がないでしょう。
このCBSが報じたブッシュJr.の軍暦に関する報道が「真実」なのかどうか、映画が進むにつれて分かっていくのかな、と思って観ていたのですが、そんなことは起きず、報じた内容の証拠が「偽造」なのかどうか、報道チーム、特にプロデューサーのメアリー・メイプスへの調査がメインに移っていきます。
そもそもブッシュJr.の軍暦に問題があるかどうか自体にそれほど興味はないのと、今の2017年の時点では誰が大統領に再選したのか、その結果どのようなことが起きたのかを知っているので、ブッシュJr.自体の軍暦に関しての報道が真実か否かを知っても何にもならないとも思います。
なので、この映画、何を伝えようとしているのか最後までよく分からなかったのですが、最後の最後に調査委員会が終了すると言うときにメアリー・メイプスが発した言葉が一番伝えたいことなのかな、と思いました。
それは、軍暦が意図的に「誰かの力によって」操作されたものであるかどうか、ということではなく、それを立証するための証拠が「証拠たり得るか」という点に関心が移っていて、もはやブッシュJr.の軍暦のことが問題ではなくなっていて、みんな忘れてしまっている、と。
また、日本でもかなり最近言われる、報道機関の「政治的中立」ということもこの調査委員会は大きな問題として捉えていたようです。
最終的に「政治的偏向はなかった」というように結論づけたようですが、「政治的偏向」とはなんなのか、僕には未だに分かりません。
極右からみれば、他は全て左になり、偏っているように見えますし、片方への振り幅が大きければ大きいほど中間はどんどんその大きく振っていったほうに移っていきます。
政治的中立というのは結局何も意味を持っておらず、だったら、最初から何を報じようとしていたのかから証拠が本物かどうかに調査の焦点が当たったとしても最後までその証拠が本物かどうかに焦点を当て続けて欲しかったと思います。
映画の善し悪しは置いておくとして、権力者、あるいは権力を保持しうる人の「都合の悪い出来事」は広く報道すべきだと僕は考えていて(それによってその人物への評価はその報道を知った人各々がすれば良い)、そういう意味で、そのような報道をしていた人物たちがジャーナリズムの世界から去ってしまったということは間違いなく悲劇だと思います。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
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