「少年と自転車」
「ロゼッタ」(1999年公開)、「ある子供」(2005年)、「ロルナの祈り」(2008年)に続き、ダルデンヌ兄弟監督作品です。
今回もTSUTAYAディスカスで50円(税&送料別)で借りました。
作品データ(映画.comより)
原題 Le Gamin au velo
製作年 2011年
製作国 ベルギー・フランス・イタリア合作
上映時間 87分
ストーリー(オフィシャルサイトより要約)
もうすぐ12歳になる少年シリル。
彼の願いは、自分をホーム(児童養護施設)へ預けた父親を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。
電話が繋がらない父を捜すため、父と暮らしていた団地へ向かうが誰も出ない。
シリルを探しにきた学校の先生から逃れようと、診療所に入り、そこにいた女性にしがみつく。
「パパが買ってくれた自転車があるはずだ!」とシリルは言い張るが、部屋をあけてもそこはもぬけの殻だった。
ある日、ある女性がシリルを訪ねてくる。先日の騒動の際にシリルがしがみついた女性、サマンサ。
シリルの話を聞いて、自転車を探し出し、持っていたひとから買い取ってくれたのだ。
「乗ってたそいつが盗んだんだ!」と憤るシリル。
美容院を営むサマンサに週末だけ里親になることを頼みこみ、彼女と週末を過ごしながら、シリルは父親の行方を捜し始める。
自転車の売り主はガソリンスタンドにあった自転車を売る旨の貼り紙を見て、シリルの自転車を手に入れたという。
シリルが大切にしていた自転車を売ったのは父親だったのだ。
貼り紙から父親の住所を探し出し、ようやく父親と再会するシリル。
不器用につかの間の父との時間を味わうシリル。
しかし、シリルに聞こえぬところでサマンサに父親は「会いたくないと伝えてくれ」と言う。
サマンサはその残酷な言葉を伝えようとするが、父親にシリルに直接言うように促す。
「……もう会いに来るな」
サマンサはそれまで以上に真摯にシリルと向き合い始める。
恋人との間に軋轢が生まれるほどに、彼女はシリルを大切に思い始めていた。
どうしようもないほどに傷ついた心を抱えたシリル。
ふたりの心は徐々に近付いていくかに見えた。
けれど、ふとしたことで知り合った青年との関係により、シリルは窮地に追い込まれる……。
感想
上のオフィシャルサイトに書いてあるストーリーでほぼ全ての物語の流れが書かれているのですが、終わりの方で描かれるのは、サマンサの暮らす街の不良に目を付けられ、グループに引き込まれる様子です。
父親に拒絶された寂しさからか、年齢の近が近く、優しく近寄ってきたからか、その関係を崩さないようにと言われるがままに従っていき、促されるまま取り返しの付かないことをしてしまいます。
ここまでで終わるとしたら、そこまで僕自身の感情を揺り動かされることはなかったと思います。
父親に拒絶される苦しみは到底理解出来るものではありませんが(そもそも母親がどうなっているのかは全く触れられず不明)、一番身近に感じ、一緒にいたいと思っていたほぼ唯一の人物に拒絶され、そこにつけいってくる人物はそこら中にいます。
それがこのシリルのような年齢であれば、余計につけいれられやすく、里親であるサマンサが忠告しても、素直に忠告に従うことが出来ないのも分かります。
でも、この映画で秀逸だったのは、本当のラスト部分です。
シリルは取り返しの付かないことをしました。
それをこれからずっと暮らしていく上で、暮らしていくということを毎日毎日過ごしていくことで、償うということをしていくのでしょう。
その一歩が見え始めたという時に、ラストの出来事が起きます。
出来事そのものもそうなのですが、そこで交わされる会話が「どちらが償わなければいけないのか」ということや、人間の本性というものを考えさせられました。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
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41 「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」 / 42 「ワールド・ウォーZ」 / 43 「惑星のかけら」 / 44 「麦子さんと」 / 45 「超高速!参勤交代 リターンズ」 / 46 「カケラ」 / 47 「スプリング・ブレイカーズ」 / 48 「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」