映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「追憶の森」

TSUTAYAディスカスでリクエストを出している作品を確認していたら、Amazonプライムビデオ(プライム会員だと無料で観られる)の対象になっていた作品がいくつかありました。

ということで、その中の1つであるこの作品を早速観てみました。

 

追憶の森(字幕版)

 

映画『追憶の森』公式サイト

 

作品データ映画.comより)

原題 The Sea of Trees

製作年 2015年

製作国 アメリ

上映時間 110分

 

ストーリー(公式サイトより)

富士山の北西に広がる青木ヶ原の樹海。その鬱蒼とした森の中に、恐る恐る足を踏み入れるアメリカ人男性がいた。彼の名はアーサー・ブレナン(マシュー・マコノヒー)。片道切符を手に日本へやって来た彼が樹海を訪れた目的はただひとつ――それは、自らの人生を終わらせることだった。森の開けた場所に腰を下ろし、ゆっくりと永遠の眠りにつく準備を始めるアーサー。そんな彼の目の前に、傷ついた身体をひきずりながら森の出口を求めてさまよう日本人男性(渡辺 謙)が現れる。「ここから出られない。助けてくれ」と懇願する男を放っておくことができなくなったアーサーは、寒さに震える男に自分のコートを着せかけ、出口に続く道へと誘導する。しかし、さっき通ったはずの道はなぜか行き止まりになっており、既に飲んでいた薬にふらつきながら歩いていたアーサーは崖から転落して怪我を負ってしまう。それは、アーサー自身の人生を象徴するかのような出来事だった。

アーサーは結婚生活に問題を抱えていた。原因は3年前の彼の浮気。それ以来、妻のジョーン(ナオミ・ワッツ)は酒に逃避するようになり、事あるごとにアーサーを責めた。さらに、大学の非常勤講師に転職して収入が激減したアーサーと、不動産仲介の仕事で高収入を得ているジョーンの間に生じた経済的な格差が、夫婦の溝をいっそう深めた。ジョーンに対する愛情が消えたわけではなかったが、自分の努力だけではどうにもならない状況にアーサーは苛立ち、苦悩する日々を送っていた。そんな中ジョーンの病気が発覚。夫婦の関係には新たな道が開けるはずだった。

アーサーが樹海で出会った日本人は、ナカムラ・タクミと名乗った。森をさまよう中で小川をみつけたタクミは、「下流に向かって進もう」とアーサーに提案する。しかし川は途中で途切れ、寒さに震えながら歩く2人の頭上には無情にも雨が降り注ぐ。雨風をよけるために2人は洞窟の中に避難するが、洞窟の中に石と鉄砲水が流れ込み、押し流されたタクミは意識を失ってしまう。ぐったりしたタクミを励まし、必死に介抱するアーサー。偶然にもテントを発見した彼は、その中に残されていたライターを使って暖を取り、ひと時の安らぎを得る。

その夜、タクミと共にたき火を囲んだアーサーは、樹海への旅を決意させた出来事を語り始めた。「絶望して来たんじゃない。悲しみでもない。罪の意識で来た。僕たちは相手への接し方を間違っていた」。タクミに心を開いたアーサーの口からは、深い悔恨の言葉がほとばしり出る。だが、その時アーサーはまだ知らなかった。コート、タクミの妻子の名前、岩に咲く花、水辺、『楽園への階段』、『ヘンゼルとグレーテル』――樹海で起きたすべての出来事が1本の奇跡の糸で結ばれることを……。

 

感想

日本を舞台にした、アメリカ映画ということで、日本に暮らす身としては、違和感を感じるのではないかと少し警戒していたのですが、主要キャストに渡辺謙がいるからなのか、全く違和感を感じることがありませんでした。

実際には少し「?」と思うところがあったのですが、実はその「?」と思うところはちゃんとした意味があって、アーサーがアメリカ人だったからそれに違和感を抱かなかったということがラストになって明らかになります。

なので、違和感自体は感じる部分はあったのですが、その違和感自体もちゃんと物語で回収されていました。

 

タイトルが日本では「追憶の森」となっていますが、原題は「The Sea of Trees」。

「樹海」です。

どこを舞台にした話なのかはよく知らずに観始めたのですが、このタイトルが表示された時点ですぐに樹海だと分かりました。

そして、樹海ということは、主人公が「死」を求めていることもすぐに想像出来ました。

 

死に場所を求めて青木ヶ原樹海にやって来たものの、右往左往してたり、あるいは他の人と出会ってしまったことで、死ぬという気持ちが生きるという方向に向かっていく。

特に、自らの意思ではなく、不意にケガをしてしまうことで、逆に生を求めるということは、とてもリアルに感じました。

 

死を考えるきっかけとなったアーサーの妻ジョーンとの夫婦関係もなんだかものすごくリアルな感じ(「これうちのこと?」と感じたり)

でした。

夫婦関係が修復される間もなく、ジョーンに病気が見つかり、回復していくのかと思った途端の展開を含めて、死を求めてやってきたその経緯が、言葉ではあまり多く説明されることはありませんが、観ていて想像出来るようになっていました。

 

登場人物が少ないと、下手すると退屈してしまうこともありますが、マシュー・マコノヒーが主演だからなのか、渡辺謙の存在感からなのか、脚本や撮影が良いのか、それとも全部良かったのか分かりませんが、決して飽きることなく最後まで観ることが出来ました。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

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