映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

『顔のない裸体たち』

先日、『一瞬の光』について書いた時に「今度は女性が書いた小説を読む」、と書いたのですが、平野啓一郎さんの小説です。

いや、『マチネの終わりに』が良かったので、とりあえず、平野啓一郎さんの小説で手に入るものを読んでいたのです。

顔のない裸体たち (新潮文庫) Kindle版

内容は、インターネットで知り合った男女(というか男の方)が、2人の性行為をネット上に投稿し、それが人気を博し、エスカレートし、最終的に破滅を迎える、というもの。

単行本が出たのが今から10年ちょっと前で、その時だったら、この作品は少しリアルな近未来の話という感じだったのでしょうが、今は中高生でも性的なやりとりを平気でネット上に流している時代に突入しているので、なんだか、今ある現実の方がすごく遠くに来てしまったような感じがします。

ネットに投稿するという設定に関してはそんなことを思うものの、この男女の出会い方から、曖昧な2人の関係、そして、最終的に破滅に突き進む様子は、確かにこういう男女はいるかもしれない、と思いました。

性的な欲求を満たすだけ、と割り切っているのかといえばそうとも言えず、かといってそれは愛でもない。

身近、というか知っている人がこういうことをしていても不思議ではないわけで、そういう点でとてもリアルなものとして感じました。