映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ドリーム」

久しぶりに映画館に行って映画を観てきました。

観た作品は「ドリーム」、いつも行く映画館では上映時間が合わなかったので、今回は初めて新宿のTOHOシネマズに行ってきました。

歌舞伎町自体かなり久しぶりだったので、日中とは言え気後れしましたが、ちょうどレディースデーの日で女性が多くてさらに気後れしました。

 

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『ドリーム』オフィシャルサイト - 20世紀フォックス

 

作品データ映画.comより)

原題 Hidden Figures

製作年 2016年

製作国 アメリ

配給 20世紀フォックス映画

上映時間 127分

映倫区分 G

 

ストーリー(オフィシャルサイトより)

東西冷戦下の1961年。ヴァージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが“西計算グループ”に集い、計算手として働いていた。リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望しているが、上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)に「黒人グループには管理職を置かない」とすげなく却下されてしまう。技術部への転属が決まったメアリー(ジャネール・モネイ)はエンジニアを志しているが、黒人である自分には叶わぬ夢だと半ば諦めている。幼い頃から数学の天才少女と見なされてきたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、黒人女性として初めてハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、オール白人男性である職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレすらない。それでも、それぞれ家庭を持つ3人は公私共に毎日をひたむきに生き、国家の威信をかけたNASAマーキュリー計画に貢献しようと奮闘していた。

 

4月12日、ガガーリンを乗せたソ連のボストーク1号が、史上初めて有人で地球を一周する宇宙飛行を成功させた。ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーが高まるなか、劣悪なオフィス環境にじっと耐え、ロケットの打ち上げに欠かせない複雑な計算や解析に取り組んでいたキャサリンは、その類い希な実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を担うようになる。ドロシーは新たに導入されたIBMのコンピュータによるデータ処理の担当に指名された。メアリーも裁判所への誓願が実り、これまで白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを掴む。さらに夫に先立たれ、女手ひとつで3人の子を育ててきたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐(マハーシャラ・アリ)からの誠実なプロポーズを受け入れるのだった。

 

1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレンアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日がやってきた。ところがその歴史的偉業に全米の注目が集まるなか、打ち上げ直前に想定外のトラブルが発生。コンピュータには任せられないある重大な“計算”を託されたのは、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンだった……。

 

感想

上にストーリーを載せたものの、いつものようにストーリーは詳しく知らずに観に行きました。

実話を元にしていること、NASAで働いていた黒人女性の話であることと、下の新聞記事を読んでから観に行きました。

 

(クロスレビュー)映画「ドリーム」朝日新聞2017年10月5日)

 

女性、そして、黒人でありながら、さらに、舞台がバージニア州で人種分離政策がまかり通っていた時代に、能力が認められていく、という物語です。

自分自身ではどうすることも出来ない、肌の色や性別などによって不当に扱われるということは、今も尚続いていることなので、何らかの少数者の立場にいたことのある人ならば、自分の経験に重ねて観ることが出来るのではないかと思います。

 

新聞などでは、日本の現在の状況に重ね、女性たちの声を載せているのをいくつか見ましたが、自分自身の経験を重ねると、キャサリンが計算係として配属された宇宙特別研究本部での出来事はまさに自分にもあった出来事に映りました。

宇宙特別研究本部はほぼ全員が「白人男性」で1人だけ白人女性が働いていて、キャサリンがその部屋に入った時、彼らにじろじろと見られるのですが、それはまさに僕が乳児を抱えて子育て支援センターに行った時の視線そのものでした。

日本では子育て、とりわけ乳児を育てる場では、「ほぼ女性」になっているので、その時向けられた視線が再現されたようでした。

 

なので、決してこの映画は、女性だけの物語ではないと思います。

男性であっても、白人であっても、(自分自身ではどうすることも出来ないことによって)少数になり、かつ不当に扱われた経験がある人には重ね合わせることが出来るのではないか、と思います。

 

けれど、やはりこの物語はアメリカ、そして主人公が黒人だったということが大きな意味を持っています。

例えば、日曜日の教会での様子。

ハレルヤを連呼し、そこに集う人たちを鼓舞する。

それは、普段の生活で彼らがいかに虐げられているかを象徴するかのようでした。

また、トイレや食堂に表示される「Color」という文字。

「Color」は曖昧な表現ではあるけれど、やはりそれは黒人のことを示していて、Blackということが憚れたからこそ使われた言葉です。

 

キャサリンの能力を認めつつも彼女が置かれている情況に全く気づかなかったハリソン。

彼は彼女の能力を認め、黒人だとか、女性だとかを抜きにしてその能力を認めるのですが、それでもキャサリンが叫ぶまでは気づかないという状況に、マジョリティがいかにマイノリティの存在やその痛み、苦しみに向き合うどころか、気づかないかということを観衆に突きつけているように思いました。

 

僕自身が気に入った場面は、白人女性のミッチェルがトイレで一緒になったドロシーに言った言葉に対してのドロシーの言葉でした。

「知っていたわ。あなたがそう思っている、っていうことは。」

どういう意味かは映画を観てもらいたいのですが、残念だったのは新聞の記事でも指摘されていた、タイトルについてです。

 

日本語タイトルは「ドリーム」ですが、原題は「Hidden Figures」。

これは単なる「夢」を実現するような物語ではありません。

そして、原題の意味は考えれば考えるほど色々な意味を持っているように感じました。

上手く訳せないのならば、原題のままで良いと思いました。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)

★★★★☆

 

2017年に観た映画ランキング

 

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11 「シチズンフォー スノーデンの暴露」 / 12 「帰ってきたヒトラー」 / 13 「SING/シング」(日本語吹替版) / 14 「君が生きた証」 / 15 「フェリシーと魔法のトウシューズ」 / 16 「ある戦争」 / 17 「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」 / 18 「ワイルド・スピード MEGA MAX」 / 19 「ナイトクローラー」 / 20 「奇跡の教室」

 

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51 「愛とセックス」(Sleeping With Other People) / 52 「後妻業の女」 / 53 「Mommy マミー」 / 54 「ロゼッタ」 / 55 「ニュースの真相」 / 56 「ビューティフル」 / 57 「沈黙 ―サイレンス―」 / 58 「あと1センチの恋」 / 59 「海難1890」 / 60 「ホテルコパン」

 

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