映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

下園壮太『うつからの脱出』

2年半前くらいから2時とか3時とかの早朝に目が覚めてしまい、眠れなくなる、という状態が続いていました。

うまく眠れていない、ということを同居人に話しても、「6時間くらい眠れてるなら大丈夫じゃない?」と言われ、元々8時間くらい(学生時代はそれ以上)寝ていたのですが、「そんなに気に病むことではないのかも」と自分を納得させていました。

でも、やっぱりうまく眠れていないと、昼間眠くなるし、かといって昼寝が出来る訳でもないし、頭もうまく動かず、体も張るというか、筋肉がこわばったりするので、睡眠に良いといわれることをいくつも試してみました。

睡眠に効くと言われる健康食品だったり、メラトニンを補うサプリメントだったり、アプリで睡眠の質を計ってみたり。

 

結局そのどれもがやはりうまく行かず、今年に入ってから、本当に心身の不調がひどくなっていました。

 

体の疲れに対しては栄養ドリンクを飲んだり、休日に少し昼寝することでやり過ごしていたのですが、精神面では、遠くに行きたい、誰もいないようなところに行きたい、1人でひっそりと暮らしたい、と思うようになり、それを家族の前でも言ってもいました。

娘はそれを思い出して、僕の前で何回か泣いたこともあるのですが、僕はそれを見ても何も感じず、益々絶望的な状況に追い込まれているような気持ちになりました。

 

そして、3月末、突然今まで生活していた家から放り出されることになったのですが、希死念慮があまりにもひどくなったので、すぐに病院を予約し、行くことにしました。

 

8年ちょっと前にも一度かかったことがあるのですが、「うつ」になっていました。

 

通院を始めて1ヶ月、睡眠に関しては改善していないのですが、精神的には希死念慮や不安などもかなりなくなり、気持ちは少し落ち着いてきました。

 

そんなときに新聞広告に載っていた本がこの本です。

 

うつからの脱出

 

 突然新しい生活を始めることになったので、節約しなくてはならず、本を自由に買える状況でもないとは思いつつも、なんだかすごく気になって買いました。

 

届いた本をすぐに読み始めたのですが、すごく自分には励みというか、マッチしているというか、そういう印象を持ちました。

 

うつの治療として、認知療法認知行動療法というものがあって、うつになっている人の考え方の特徴(偏り)がうつになった原因でもあるから、その原因である考え方の特徴(偏り)を自分自身で認識し、偏りをなくそう、というものです。

 

それは、つまり、シンプルに言えば、「今までの自分だと病気になる原因があるままだから、その原因である今までの自分を変えなくてはならない」ということです。

 

確かに、合理的というか、納得が出来る考え方ではあるのですが、自分自身の考え方に特徴(偏り)があると言われても、それが自分で認識できたとしても、その特徴(偏り)を意識して体得した訳でもないので、修正するのは正直難しいのです。

 

でも、この本で著者は、特徴があるのは良いこと、別に変えなくても良い、と書いてくれていました。

 

それよりも、不安が来るのは、元々身体に備わっているスイッチが入ってしまったから、だからそれを緩めるようにするにはどうすれば良いのか、ということを具体的に示してくれています。

例えば、呼吸を1~100まで数えてみる、とか身体の感覚に意識を向ける方法、回復日記を書いていくことなど。

 

なぜ、心身がこんな状態になってしまっているのか、ということをわかりやすく説明してくれ、そして何よりもそれは誰しもが起きることで、だからこそそこからも脱出していける、ということが示されていて、今までいくつかの「うつ」に関する本を読んできましたが、一番良かったです。

 

もし、機会があれば、身近な人にも渡して、読んでもらおうかな、と思っています。