『亜人ちゃんは語りたい』
いつも聴いているラジオ番組に、評論家の荻上チキさんがパーソナリティを務めるセッション22というものがあります。
(夜22時からの番組なので、聴くときはラジオクラウドで聴いています。1.5倍速で聴けることもあり。)
先日の 放送で、チキさんが勧める漫画が3作品紹介されていました。
紹介されていた3作品の中で漫画としては読んだことがなかった作品が2つあり、その中の1つ、『亜人ちゃんは語りたい』がちょうどKindleで一巻が無料になっていたので、読んでみました。
漫画を読むのは初めてだったのですが、アニメは観たことがありました。
アニメを観たきっかけは、子どもたちといるときに暇つぶしでAmazonプライムになっているアニメ番組で評価の高いものをとりあえず観てみよう、ということで見始めました。
「亜人」というのが何を指しているのかも最初よくわからなかったのですが、子どもたちも僕もすっかりはまってしまいました。
亜人というのは、「人間と似て非なる伝説の生物」のことだそうで、バンパイアや、雪女など、人間なのかもしれないけれど、人間とはちょっと違うキャラクターたちがある学校に在籍している、という物語になっています。
登場する亜人(デミちゃん)たちは高校生と教師とみんな女性で、そこに1人、男性の亜人ではない生物教師が、関わっていきます。
物語の冒頭で、亜人は差別の対象でもなくなり、存在が認められているけれども、かといって出会うことも難しい存在、として説明されます。
そこで、初めて出会った亜人に、以前から亜人に興味を持っていた高校教師(テツ先生)が実際に亜人の性質や悩みを聞いていく、という形で関わっていきます。
その結果、亜人たちがあまりにもテツ先生に頼ったり、関わるようになったので、教頭から「特定の生徒ばかりに関わらないように」と注意を受けます。
この注意にテツ先生は悩み、亜人以外の生徒たちも悩むのですが、その中で印象的なやりとりがありました。
さっき 亜人は普通の人間と“ほとんど変わらない”って言ってたけど
それはつまり“違うところはある”ってことでしょ?
そういう部分をちゃんと理解してあげなくていいのかなって
そこを見ないで“同じ人間だー”って
それこそ差別なんじゃないかなって
「みんな同じ人間だ」って言うのは、言いがちな表現だと思います。
それは他の人はあなたを差別することがあるかも知れないけれど、自分は差別をしない、自分と同じ存在として相手を見ている、という表明であることもあります。
けれど、「みんな同じ人間だ」という表現には、同時に、目の前に差別されているという現実を背負っている相手の状況や背景、背負ってきたものを見えなくさせてしまう、という表現でもあります。
僕とあなたは違う、けれど、一緒にどうやったら歩むことが出来るか考えたい。
だから、あなたのことを知りたいし、自分のことも知って欲しい。
この漫画では、亜人という、ある程度わかりやすい表現で描かれていますが、これは目に見えない特徴を持った相手でも、または差別というものでなくても、目の前にいる相手と自分がどう関わるか、ということを見つめ直すものであると思います。
漫画は一巻だけが、Kindle版が無料ですが、アニメはプライム会員なら12エピソード全部が無料で見られるので、オススメです。