「海よりもまだ深く」
映画館で是枝裕和監督の「万引き家族」を観たので、他にまだ観ていない作品がAmazonで観られないか探したところ、あったので観てみました。
作品データ(映画.comより)
監督 是枝裕和
製作年 2016年
製作国 日本
配給 ギャガ
上映時間 117分
映倫区分 G
ストーリー(公式サイトより)
笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが―。
勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆
感想
離婚した夫婦の夫側良多が主人公の物語です。
離婚した妻に未練を持ち、休日になると、妻の行動を監視する。
稼いだお金はギャンブルですぐに消えていき、お金を無心し、そのお金もすぐにギャンブルに消えていく。
でも、子どもにはプレゼントをあげたいと思っているし、妻ともなんとかもう一度関係を戻したいと考えている。
「本当に元妻と関係を修復したいなら、子どもと過ごしたいなら、ギャンブルなんかするなよ」とか、糾弾することは簡単にできるような主人公です。
どうにか父親らしくあろうとしているのに、やっていることがちぐはぐ。
けれど、このちぐはぐさが、目の前のことに取り組むしかない、という良多という主人公が置かれている情況をよく現しているように感じました。
1度だけあった文学賞にすがりついているのかというと、そうでもなく、ただ目の前にあることだけしか考えられない。
それは、誰かが発した気になる言葉をその場でメモする、ということだったり、探偵の仕事で得た情報で高校生からお金を巻き上げたり、実家に寄って金目のものを漁ることだったり。
俯瞰してみると、よりを戻すことや父親としてふさわしい行いとは思えなくても、それをするしかない、目の前のことをとにかくやっていくしかない、ということが描かれていました。
その目の前のことをとにかくやっていくしかないという日々にあって、最後の親子3人での出来事はどういう意味を持つのか、過去にしがみついているとは見えない主人公良多にとってどのような意味を持つのか、考えさせられるシーンでした。