映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「インクレディブル・ファミリー」

子どもたちとの2回目の面会だった「未来のミライ」を次男と娘との3人で観に行った際、 次男と長女から要望されていた「インクレディブル・ファミリー」を今度は長男も含めた4人で観に行きました。

観に行ったのは8月上旬で、子どもたちが暮らす家と僕の実家の中間くらいにある大型スーパーに併設されている映画館です。
その映画館を選んだ理由は、僕の実家から子どもたちの家までの間にある、車で行ける映画館だったからです。
電車だと中間点よりは、都心に行った方が便利な場所に映画館があるのですが、都心に行ってから戻るよりはと、子どもたちにとっても移動の負担が少ない車で、その映画館を選びました。
ちなみに、僕は実家で生活していた大学生の時(10数年前)に行った以来でした。

 

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インクレディブル・ファミリー|映画|ディズニー公式

作品データ映画.comより)
監督 ブラッド・バード
原題 Incredibles 2
製作年 2018年
製作国 アメリ
配給 ディズニー
上映時間 118分
映倫区分 G

ストーリー(公式サイトより)
 悪と戦い、人々を守ってきたヒーローたち。だが、その驚異的なパワーに非難の声が高まり、彼らはその活動を禁じられていた------。
 そんなある日、かつてヒーロー界のスターだったボブとその家族のもとに、復活をかけたミッションが舞い込む。だがミッションを任されたのは――なんと妻のヘレンだった!留守を預かることになった伝説の元ヒーロー、ボブは、慣れない家事・育児に悪戦苦闘。しかも、赤ちゃんジャック・ジャックの驚きのスーパーパワーが覚醒し・・・。
 一方、ミッション遂行中のヘレンは“ある事件”と遭遇する。そこには、全世界を恐怖に陥れる陰謀が!ヘレンの身にも危険が迫る!果たして、ボブたちヒーロー家族と世界の運命は!?

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想 
子どもたちと一緒に暮らしていた時は、いつも朝一番の上映時間に観て、昼食を取ってから帰る、というパターンで映画を観ていたのですが、今回は先に僕と長女がお泊まりしていた僕の実家に、長男と次男が来てから映画館に向かう、という流れだったので、お昼過ぎの上映時間でした。
いつも行っていたTOHO系とは違い、上映時間の10分前に入場開始ということで、チケット売り場に入場を待つ人たちがかなり溜まっていましたが、そのほとんどが家族連れでした。

休日のお昼過ぎ、大型スーパーに併設された映画館で、映画も公開されたばかりだったので、席はほぼ満席でした。
ほぼ満席で、家族連れが多かったので、映画上映中、笑ったり、クスクスしていても良い雰囲気だったのはとても良かったです。
シリアスな映画ならまだしも、コメディやファミリー向けの映画でも、客層によっては笑うこともはばかれるような雰囲気があるときもありますが、今回は気にせずに笑ったり出来たのは子どもたちにも良かったように思います。

映画の内容ですが、まず最初に「Bao」という短編が上映されたあとに、本編「インクレディブル・ファミリー」が始まりました。

前作の「ミスター・インクレディブル」の内容はほとんど忘れてしまったのですが、今回の作品では、ミスター・インクレディブルであるボブを父親として、その妻はイラスティガールことヘレン、長女にヴァイオレット、長男にダッシュ、赤ん坊にジャック・ジャックという5人家族の姿が描かれています。
ファミリーの物語ですし、最後まで観ると確かに家族が助け合っているとも見えるので、家族の絆の物語と理解することも出来るかと思います。
しかし、僕としては、これは「家族」ということで社会だったり、他の家族だったりから直接、非直接的に要求されている、家族の中の役割に抗う物語だと思いました。

たとえば、今回の映画では、ボブが家事・育児をこなし、ヘレンがイラスティガールとして活躍します。
ボブは自分は家の外、つまりヒーローのミスター・インクレディブルとして働くことを望み、でも、家事・育児もやれると思っている。
だけど、ボブが思っているほど家事・育児を出来ず、子どもたちのケアも十分に出来ない現実に直面する。

ヘレンは特に小さいジャック・ジャックのことを気にかけつつも、イラスティガールとして活躍出来たこと、つまり家の外で働け、評価されることに自信を深めていく。

女性は家事・育児をすべきもの、たとえ家の外で働くとしても家事・育児を主体的にこなすのは女性である、あるいは、男性は家の外で働き、活躍することが第一で、外で働き、活躍しつつ家族をも大切にするということが必要だ、というようなジェンダーをシリアスに悩んだりするのではなく、ボブが家事・育児で眠れないでどんどんやつれていくというようなユーモラスな姿を通して、観客である子どもたちにも伝えているのではないかと感じました。

また、ジェンダーを軽やかに描いていることも良かったのですが、赤ん坊であるジャック・ジャックの姿もとても良かったです。
最初は、ヒーロー活動をする際には「お荷物」で、その世話をなすりつけ合い、ジャック・ジャックといたから自分が活躍できなかったように他の家族が振る舞ったりしますが、実はジャック・ジャックといることで思わぬ力が発揮されたり、予想外の展開が起きる。

ヒーローの話ではなく、現実の家族に置き換えたとしても、赤ちゃんは何も出来なかったり、世話のかかる「お荷物」ではなく、いろんな可能性を持っているいるし、周りの人とであらたな才能が発揮されたり、予想外の展開を招いてくれる。
例えば、赤ん坊が生まれたことで、料理にはまるようになる人もいるでしょうし、赤ちゃんを通して今まで出会うことがないような人と出会うこともあるでしょう。
赤ん坊というのは、決して「お荷物」ではなく、そういう可能性を沢山与えてくれる存在なのだ、という赤ん坊を肯定するまなざしがとても良かったです。