映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「最高の人生のはじめ方」

前回書いた「最高の人生の見つけ方」はこの作品を観ようと思い、もう一度観た作品になります。
この「最高の人生のはじめ方」は観た記憶がなかったのですが、同じようなタイトルで、もしかしたら「最高の人生の見つけ方」と関係があるのかも、ということもあり、「最高の人生の見つけ方」を観たのでした。
結果的に、タイトルが似ているだけで(よく考えてみれば、原題は全く違いました。「最高の人生の見つけ方」="The Bucket List"(棺桶リスト)、「最高の人生のはじめ方」="The Magic of Belle Isle"(ベル島の魔法))、内容は全く関係がありませんでした。
まぁ、観たことある作品だったとしても面白かったので構わないのですが。
 


最高の人生のはじめ方(字幕版)

 
作品データ映画.comより)
監督 ロブ・ライナー
原題 The Magic of Belle Isle
製作年 2012年
製作国 アメリ
上映時間 108分

ストーリーallcinemaより)
有名な小説家モンテ・ワイルドホーンも、今ではアルコールにおぼれ創作意欲を完全に失っていた。孤独な毎日を過ごす彼に、甥のヘンリーは避暑地で夏を過ごすことを提案。モンテは美しい湖畔にあるキャビンを訪れるが、その隣家へ魅力的なシングルマザーのシャーロットが三人の娘を伴ってやってくる。シャーロットたちと徐々に交流を深めるようになるうち、モンテは、自分の中に創作意欲と優しい心が戻ってくるのを感じるのだった。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
日本語タイトルが「最高の人生の見つけ方」と似ているのはなぜなのだろうかと調べたら、監督が「最高の人生の見つけ方」と同じロブ・ライナー、主演もモーガン・フリーマンなので、監督と主演が同じなので配給会社がこのようなタイトルにしたのかも知れません。

物語は、ある夏の間、避暑地(原題のBelle Isle=ベル島)で隣人になる家族の交流です。
離婚係争中でティーンエイジャーから小学校低学年くらいまでの娘3人と一緒の母シャーロットと、かつて人気を得た作品を書いたこともあるけれど、今は筆を絶っている小説家モンテとの交流です。

モンテは車椅子だし、ウィスキーばかり飲んでいて、家から出て街へ行くと思ったら、ウィスキーを買いに行くため、というほど酒浸りで、シャーロットに対しても最初意地悪な態度を取るのですが、不思議と悲壮感や近寄りがたい雰囲気はありません。
それは、多分シャーロット含め大人に対してはちょっと意地悪で横柄な態度を取るけれど、子どもたちには優しいからです。

物語が展開するに連れて、モンテが小説を書いていない理由だけでなく、車椅子生活になるようになった理由や、子どもがいない理由が明らかになっていくのですが、それらが少しずつ明らかになると、なぜ彼が子どもたちに優しくするのかが分かってきます。
単にそれは、子どもという弱い存在だからとか、守らなければならないからとかそういう社会規範的なものではなく、極個人的な意味を持った行為だということが分かります。

酒浸りで、筆を絶ち、ちょっと悪態をついているので、モンテが人生をやり直すというか癒やされるというような点に焦点が当たるかも知れませんが、モンテだけでなく、モンテと出会った隣人であるシャーロット一家、母シャーロット、長女ウィロー、次女フィン、三女フローラの4人も癒やされ、特に子どもたちにとっては始まったばかりの人生を羽ばたかせるために背中を押す出会いだということが描かれています。

僕が良いな、と思ったのはこの点で、決してモンテだけが一方的に癒やされたり、やり直すきっかけになったのではない、ということです。
出会いというのは相手があってのことなので、一方が与えるだけで相手は受け取るだけということはなく、両者がそれぞれ与えつつ受け取っているからです。
この点をこんな堅い言葉を用いることなく描いている点がとても良かったです。