映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「セイフ ヘイヴン」

 先日、日本では今、所得や学歴によって結婚相手がある程度決まっていることだけでなく、社会経済的に弱い立場の人ほど離婚などがおきやすいという論考を読みました。

「結婚」「夫婦」という観点から見る日本の所得格差 / 迫田さやか / 所得分配論 | SYNODOS -シノドス-


 元配偶者は国立大学出身で、僕は大学院こそ出ていますが、正規雇用されたことはなく、年収もかなり低いことから、そもそも結婚出来る相手ではなかったということと共に、そもそも離婚リスクが高かったことが分かりました。
 貧困に対する考え方や、学力に関する家庭の経済力の強い影響に対する認識など、いわゆる社会問題について悉く考え方が違っていましたが、こういう論考を読むと、いかに自分と元配偶者が「合わない」関係・環境で育ってきたのか、ということが分かってとても興味深いです。

 今回の映画はAmazonでの評価が高かったので観てみた作品です。


セイフ ヘイヴン (字幕版)

 
作品データ映画.comより)
監督 ラッセ・ハルストレム
原題 Safe Haven
製作年 2013年
製作国 アメリ
配給 ポニーキャニオン
上映時間 116分
映倫区分 G

あらすじシネマトゥデイより)
 小さな港町。長距離バスに乗り、逃げるようにやって来たケイティ(ジュリアン・ハフ)は、そこで新しい生活をスタートさせる。ケイティは男手ひとつで2人の子どもを養っているアレックス(ジョシュ・デュアメル)と出会い、近所に住むジョー(コビー・スマルダーズ)のアドバイスもあって親しくなっていく。そんなある日、アレックスは警察署でケイティの指名手配書を目にする。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 原作は小説(ニコラス・スパークスセイフ ヘイヴン』)で、タイトルがいろんな意味を持ち、それがこの作品内容と絡み合っていて、とても秀逸です。
 原題の「Safe Haven」のHavenは、(避難)港、停泊所、避難所を表す言葉です。
 避難所であること、また、その避難所が港であること、さらに停泊所でもある、とそれらの意味がすべて物語に関係してきます。

 長距離バスで休憩のために立ち寄った場所(停泊所)で、休憩後もバスに乗らずに残ったケイティ。
 その休憩場所の売店はヨットが並ぶ港でもあり、ケイティは港沿いのレストランで仕事を見つけ、売店の店主アレックスと出会い、お互いに惹かれ合っていく。
 ケイティとアレックス、また、アレックスの子どもたちジョシュとレクシーとの関わりが深まっていく様子の合間には、ケイティを追う刑事の様子が所々に差し込まれます。

 なぜケイティが刑事に追われているのか、アレックスが警察署で見つけたケイティの手配書を読むと、ケイティの犯した罪が書かれている。
 アレックス同様に1つの確信に至ったはずが、その後徐々にケイティの身に起きたことが明らかになります。

 そのケイティの身に何が起きたのか、ということが明らかになる様子・展開が飽きさせることなく、とても良かったです。
 似たような展開として今年観た「ガール・オン・ザ・トレイン」がありますが、「ガール・オン・ザ・トレイン」が記憶を手がかりに展開されることに対して、この「セイフ ヘイヴン」では、時の流れの中でそれぞれの人物たちの行動が最終的に1つにまとまる形で明らかになります。
 このそれぞれの人物たちの行動が最終的に1つにまとまるという展開がとても良かったです。

 また、時の流れ、というのは、アレックスやケイティだけでなく、母の死を受け入れられずにいて、父に不信感を抱いているジョシュが徐々に父と和解していく、ということも自然な流れとして受け止めることが出来ました。
 最終的に、主人公ケイティのSafe Haven=安全な避難所ということだけでなく、ジョシュたちにとっても安全な避難所であったことが分かるラストになっているように思いました。