映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「みちていく」

 Amazonで表示されたのでなんとなく観てみた作品です。
 冒頭から、なんだか見たことがあるような場所だな、と思って、後で調べてみたら自分の出身大学の学生が卒業制作で作った映画でした。
 
 僕は大学系列の高校出身で、高校の隣には大学のキャンパスもあり、また、僕が通った方のもう一つの大学のキャンパスの隣には中学(今は高校も)があり、両方の大学のキャンパス、中高の校舎やそこに向かう電車やバスにも馴染みがあります。
 それらの校舎やそこに向かう電車やバスなどで撮影されていたこと、登場人物の1人に元配偶者の名前も出てきたりと、作品の内容には関係のないところで、身近すぎて、作品をどう観れば良いのか戸惑ってしまいました。
 ちなみに、元配偶者の名前が出てきたのは、元配偶者が大学系列の中学高校で教員をしているので、多分制作者の1人に中高の卒業生がいるのだと思います。
 もちろん偶然の可能性はありますが、元配偶者はすごくシンプルな名前なので使ったのかなと思います。


みちていく

 

youtu.be


みちていく(公式サイト)

作品データ映画.comより)
監督 竹内里紗
製作年 2014年
製作国 日本
配給 シネマトグラフ
上映時間 89分

あらすじ
(公式サイトより)
歳の離れた恋人に身体を噛んでもらうことでしか満たされない陸上部のエースみちる(飛田桃子)。生真面目で部員達に疎まれる部長の新田(山田由梨)。二人は互いの空虚を埋め合うように、だんだんと近づいていく――。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 最初に書いたように、元配偶者の名前が出てきたり、それでなくても、男子校のはずの校舎を舞台に女子校という設定で物語が進んでいくことに、あまりに身近な所を舞台にしているが故に、現実を知っているからこそ、違和感を拭い去る難しさを感じました。
 例えば、駅から出て学校に向かう道では、「いや、その道は通らないだろう」とか思ってしまいました。
 もちろん、フィクションなので、画になる場所を選んだだけなのですが、自分にはあまりにも身近な場所過ぎました。
 何せ、キャンパスの場所は2つに分かれていたとはいえ、高校から大学院まで9年も通った場所なので。

 さて、物語としては、思春期を過ぎ、モラトリアム期に突入した女子高校生たちが、自分の存在の意味を探り始める、というものです。
 自傷行為によって自分が確かに存在しているということを確かめる者、部活などで役割を与えられ、それによって自分という存在が「必要とされている」と感じる者。
その両方だったり、他の方法を模索する者。

 形は違えど、同じように自分という存在をどう捉えたら良いのか分からず悩む者同士が、それを分かち合う物語なのだと思います。

 自分が大学生の時にこんな作品が作れるかと言えばそんなことはなく、すごいな、と思うのですが、なるべく自分とは切り離して考えると物足りなさも感じました。
 それは、自傷行為の1つの現れとして「性」が描かれていないことです。
 性についてはほんの少し予感されているのですが、それでも描かれていません。

 自傷行為と言わなくても、自分が何者なのか分からない、自分が誰かから必要とされていることを確認するために、性に没入する、ということは、女子高生などの学生だけでなく、その上の年代でも見られる行為です。
 恋人がいて、恋人に傷つけてもらうことが1つの自傷行為として描かれているのですが、セックスそのもの、恋人から求められるままになったり、あるいは、求められるように振る舞う、ということも描かれていると、よりリアルに感じたのではないかと思います。

 その点で言えば、ストレートに描いている「17歳」の方がわかりやすい感じがしました。