映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

 漫画(『ボーイズ・オン・ザ・ラン』)では最初の数巻を読んだことがあったのですが、読み切っておらず最後どうなるのか知らなかったのですが、Amazonで無料で観られたので観てみました。 


ボーイズ・オン・ザ・ラン

 

作品データ映画.comより)
監督 三浦大輔
製作年 2009年
製作国 日本
配給 ファントム・フィルム
上映時間 114分
映倫区分 R15+

あらすじシネマトゥデイより)
ガチャガチャ専門の玩具メーカーに勤務する田西敏行(峯田和伸)。営業成績はいまひとつで、さらにはいい雰囲気だった同僚のちはる(黒川芽以)とは一度の過ちがきっかけで彼女の気持ちが冷めてしまう。そんなある日、田西はちはるがライバル会社の青山(松田龍平)にもてあそばれたことを知り……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 漫画ではいまいち気分が乗らないというか、最後まで読み切ろうという気持ちにはなれなかったのですが、漫画10巻分の内容を2時間の映画にまとめてもらったことで、僕にとっては物語がすっきりしてとても良かったです。

 物語の展開がすっきりし、最初良い感じになった同僚との関係がギクシャクし、そのすぐ後に一緒に飲みに行くくらいの関係だったライバル会社のイケメンに同僚を奪われてしまう。
 しかも、そのライバル会社のイケメンは同僚をもてあそび、他の男の間でも遊ばれていた。
 けれど、気持ちの切れない主人公は同僚をもてあそんだライバル会社のイケメンも、他の男も許せず、復讐しようとするが、手も足も出せずあっけなく返り討ちにあう。

 働いている会社は小さく、納入先の店長には名前を覚えてもらえず、性的な関係を持てるのは風俗を介してだけ、30歳間近でも未だに実家暮らし。
 あげればきりがないほどさえない主人公ですが、逆にそれがとてもリアルだな、と思いました。

 好きになった相手とちょっと良い感じになるけれど、今まで経験がないからどうやってアプローチしたら良いか分からず、右往左往している間に、相手の気持ちが離れてしまう。
 そしてあっという間に経験豊富な男に気持ちを持って行かれ、身も心もボロボロにされ、それなのに、未だにその男を忘れられないでいる女。
 自分に気持ちがあるのを分かっているから、都合の良い時だけ女はその男を利用し、男もそれを利用されていると分かっているのか分かっていないのか、優しさだと考えているのか、彼女の頼みを聞いてしまう。
 そして、最終的には、彼女だけでなく、自分自身も最初から出会わなければ良かったと思うほどの後悔と苦しみを感じる。

 リアルすぎて、しかも、この主人公の姿が自分に重ねてしまうから、観ていてとても苦しくなりました。
 けれど、これが現実なのかな、と。
 モテる人というのは、鶏が先か卵が先か分かりませんが、モテるので経験をどんどん積んでいき、経験があるからさらにまたモテる。
 強い人は、強いからどんどん強くなっていく。
 お金のある人は、お金があるからどんどんお金が増えていく。
 その中に分け入って行くには、誠実さなどは必要がないし、それでは通用しない。

 でも、彼の周りには支えてくれる人がいる、というのは、唯一の救いでありながら、それこそが実は一番大切なものだと示しているのだと僕は思いました。