映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「舞妓はレディ」

 ミュージカル映画、ミュージカルそのものをあまり好きになれない、と言いつつも、またミュージカル映画を観てみました。
 タイトルからして「マイ・フェア・レディ」から取ったものだとは分かったのですが、監督が母校の先輩にあたる周防正行ということもあり、興味が惹かれました。
 興味が惹かれたのは母校の先輩だからということではなく、「シコふんじゃった。」、「Shall we ダンス?」、「それでもボクはやってない」と周防監督作品を観てきたこともあり、どれも面白かったからです。

 



舞妓はレディ

 
作品データ映画.comより)
監督 周防正行
製作年 2014年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 135分
映倫区分 G

あらすじシネマトゥデイより)
古都・京都。お茶屋・万寿楽にある夜、絶対に舞妓になりたいと少女・春子(上白石萌音)が押し掛けてくる。春子は必死で頼み込むが、誰も相手にしようとしない。ところが偶然その様子を目にした言語学者の「センセ」こと京野(長谷川博己)が、鹿児島弁と津軽弁が混ざった彼女に関心を寄せたことから、晴れて万寿楽の仕込み(見習い)になる春子だったが……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 主演の上白石萌音がとても良かったです。
 声優としては「君の名は。」で知っていたものの、実写では演技を観たことがなかったのですが、物語の設定である田舎からやってきて何も知らない娘という素朴な感じが見た目や言葉からも伝わってきましたし、ミュージカル映画にとっての致命線である歌も出演者の中で一番上手でした。

 周防監督作品にしては、と言っては失礼かも知れませんが、制作にお金がかかっていることが、セットや出演者のバラエティからも感じることが出来、それを楽しむことも出来ました。
 また、僕自身が苦手としている、なぜ突然歌い出すのか、という拭い去れない違和感をそこまで感じることもありませんでした。
 特に、主人公春子が正式に花街にやってきた時の舞妓さんたちの踊りと歌は違和感を感じないことはもちろん、これから物語が始まるぞ、という雰囲気を作り出していてとても良かったです。

 けれど、物語としては深みがないように感じました。
 花街で抱える深刻な問題である舞妓不足を補うと言っても、春子を受け入れた経緯も軽く、春子の母親がかつて同じ花街で芸妓をしていたということが明らかになるシーンも、お互いに隠していた割には軽く扱われすぎているように感じました。

 また、春子の舞妓としての成長を描いていく中で、恋も描かれているのですが、それも中途半端なような感じがしました。
 人ってこんな簡単に恋するだろうか、と、まぁ、それはまだ春子が若いので良いとしても、その気持ちが膨らんで行く様子をもっと丁寧に描いても良かったのではないかと思いました。