映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

事実婚で唯一後悔したこと

 先日財産分与の調停があったからか、(調停前で)うまく眠れない日が続いていたからか、調停が終わってからも、メンタルの調子が悪い日が続いていました。
 まずはゆっくり眠ることを一番にしながらも、なんでここまで調停で調子を崩したのか、それを考えています。
 僕の場合はこうして「文字にして書く」、ということで頭の中が整理されるので、調停でなぜ体調を崩したのか、なぜ体調を崩すほど苦しいと自分が感じているのかを書いてみようと思います。

 財産分与に関しての1回目の調停について書いたものでも触れたのですが、僕が一番苦しく感じているのは、暴力的に家から追い出された、ということです。
 それは、まさに行政が野宿生活者を追い出す時と同じやり方で、強制的に、具体的には「鍵を変える」という方法によって追い出されました。

 行政にも言い分があるように、元配偶者にも言い分があるでしょう。
 しかし、それまで暮らしていた場所から強制的に追い出される、という出来事は恐怖でしかありません。
 行政が野宿生活者を強制的に追い出す場面を目の前にし、おかしいと言っていたにも関わらず、なぜ僕は元配偶者に「おかしい」、と言えなかったのか。

 それは、今になって思うと法テラスに相談したことが大きいです。
 元配偶者から「家から出て行け」「○日には鍵を変える」「そのときには警察と一緒に行く」と言われ、どうしたら良いのか分からなかった僕は、法テラスに相談しました。
 同時にうつ病の症状もひどかったので(救急車を数回呼ばれました)、延期することや、話し合いが出来ないか元配偶者に打診したものの、全て拒否されました。
 そんな中、文字通り這うようにして法テラスに相談に行きました。

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 法テラスで相談したところ、なんと言われたのかというと、結論で言えば、「何も手を打てない」ということでした。
 僕が子どもたち、元配偶者と暮らしていた家は、義父の所有していた家で、家賃を払っていたものの、書面を交わしたり、契約書は作成していませんでした。
 そのため、「鍵を変えられてしまったら、何も出来ない」と法テラスで相談した弁護士は言ってきました。
 
 (抗うつ薬を飲まなくても生活できている)今になって考えてみれば、たとえ事実婚だとしても、一方的に別居することは出来ない、扶養義務があるということが分かるのですが、そのときは法テラスで聞いた答えで、元配偶者が宣告していた数日後までに「急いで出て行かなければならない」と思い込んでしまいました。
 実際にそこから、即入居可能な物件を見つけ急いで転居したのですが、それが後々悪い方向を選んでいたことが分かりました。

 先ほども少し触れましたが、事実婚であっても、扶養義務が発生するので、一方的な別居や、今回のように強制的に家から追い出すことは出来ません。
 仮に別居するということになっても、扶養義務があるので、今まで扶養していた側は、別居している相手が生活出来るように生活費を払ったりする必要があります。
 だから、話し合いで解決されるまでは、いくら脅されても家から出てはいけなかったし、住民票を移してはいけませんでした。

 けれど、僕は、元配偶者からの「家から出て行け」「○日には鍵を変える」「そのときには警察と一緒に行く」という言葉に恐怖を感じ、法テラスでの弁護士の答えに絶望し、家から出て行ってしまいました。
 その結果、どうなったのかと言えば、今回の財産分与を巡る調停で、元配偶者は、別居したその日まではおろか、事実婚に移行した法律婚を解消した日までの財産を分与する、と主張してきたのです。

 法律婚で、調停によって離婚が成立した場合は、それまでの期間どのくらい別居していようが、その離婚が成立したその日までの財産が分与の対象とされますが、事実婚では「別居した日」までが分与の対象となるようです。
(ならない場合もあるようですが、住民票を移さないことはもちろん、裁判をしても結論が分かれるようです。) 

 事実婚にする際、離婚届を元配偶者に勝手に役所に提出されたこと、離婚届の証人に僕が長年関係に悩んでいることを知っているにも関わらず僕の両親に求めたことから、本来ならすべきだった事実婚に関しての約束を書面で交わしていませんでした。
 例えば、法律婚と同じ扶助義務を負うことだとか、親権についてだとかです。

 事実婚にして僕が唯一後悔したことはこのことで、つまり、法律婚と同じ義務と努力をしていく、ということを書面に残しておく、ということです。
 これからだれかと事実婚として生活していく、という人はもちろん、僕らのように途中から事実婚に移行する、という人も、事実婚がある程度認知され、法的にもある程度法律婚と同様の権利や義務が認められるようになってきたとはいえ、やはり法律婚とは違うので、法律婚と同じ義務や努力が求められることを確認しておくことが必要だと思います。

 書面を交わす、ということは、法律婚では婚姻届になりますし、事実婚の場合も婚姻届と同じような感覚で書面を交わしておくことが必要だと思います。
 その書面は、ある意味保険のようなもので、何か夫婦の関係がおかしくなったときに役立ちます。
 もちろんそんな保険は必要なく過ごせる人たちも沢山いると思いますが、(公正証書などにする場合は最初少しお金がかかりますが)お金のかからない保険と考えれば、やっておいて無駄ではないと思います。