映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ディス・イズ・ミー ~ありのままの私~」

 中学生くらいの時、「男だけの空間」に居心地の悪さを感じていました。
 高校は男子校、そして、今でも「男だけの空間」は苦手で、友人もどちらかというと男性よりも女性の方が多いのですが、それは、多分自分自身のセクシャリティが関係しているのだと分かったのは大学生も終わり、大学院生になったときでした。
 LGBTQ、あるいはセクシャルマイノリティではなく、シスジェンダーヘテロセクシャルだと思っていた自分が、なぜこんなにも男だけ、あるいは男だらけの空間に違和感を感じるのか分からず、誰かと群れようとする気質もなかったので、1人でいることが好きだからなのだと考えてました。

 けれど、性はグラデーションである、ということを知り、そうか、自分は100%の男ではなかったのだ、と分かった時に、ふとこれまでの「男だけ(だらけ)の空間」に感じ続けていた違和感の正体がわかったような気がしました。

性はグラデーション(LGBTハンドブック)


 そんな体験があるので、特に自分自身のセクシャリティを自覚し始める中学生にセクシャリティセクシャルマイノリティについて話すことがあるのですが、考えたくないからなのか、恥ずかしいのか、笑いの対象にして済まそうとする者も中にはいて、伝えることの難しさを感じています。
 特に、大人でも性に関することはタブー視する傾向があるので、それを反映しているのかも知れません。

 そんな、自分の口で伝えることの難しさを何年も感じていたのですが、はるかに伝わるであろう映像に出会いました。
 


ディス・イズ・ミー ~ありのままの私~(字幕版)


This is Me | wifey | videos | woman as subject, not object

作品データAmazon紹介ページより)
監督 リース・エルンスト
シーズン年 2016
提供 WifeyTV

内容Amazon紹介ページより)
「ディス・イズ・ミー ~ありのままの私~」は、ドラマ「トランスペアレント」に触発されて製作された3~5分のドキュメンタリー短編5本のシリーズ。 トランスジェンダーや性的少数派が製作者となり、「トランスペアレント」で見つけたテーマをもとに、それぞれの考えや思いを表現する。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★

感想
 上の「内容」の所にも載っていますが、1つの映像が5分程度になっています。
 全部の映像を見ても20分ちょっとになっているのですが、その時間を含めて、子どもたちに伝えるには最適だと思いました。

 登場し、自分たちが経験してきたことを話す当事者たちの多くはトランスジェンダーですが、彼ら・彼女らの語る実際に体験してきたこと、そこには自分がいつ頃自分のセクシャリティを認識したのか、家族、とりわけ親にどのようにして打ち明けてきたのか、あるいは打ち明けてこなかったのか、日々さらされる暴力や中傷や嘲笑について語られています。
 トランスジェンダーが多数になっているものの、そこにはセクシャルマイノリティの人たちが直面しやすい課題が語られているように感じました。
 また、トランスジェンダーが多数であっても、そこに登場する人たちは年齢や出身国、肌の色も別々で、多様性に配慮されているように感じました。

 内容自体が素晴らしかったので、DVDだったり、Amazon以外での配信など、他の方法で多数が見られる方法を探してみたのですが、残念ながら今のところ、Amazon以外では日本語字幕付きでは見られないようです。
 製作したWifeyTVのサイトを見れば動画の紹介はあるのですが、英語のままだと理解出来ない人に見せる方法がAmazon以外ではない、ということが本当に残念でなりません。