映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「マイティ・ソー」

 自分の中でのマーベル作品祭り、ということで、今回もマーベル作品です。
 順番としては、この「マイティ・ソー」の方が先に公開されているのですが、前回「キャプテン・アメリカ」を見たので、これで【フェイズ1】の6作品は全て観たことになります。

【フェイズ1】
アイアンマン」(2008年公開)
インクレディブル・ハルク」(2008年公開)
アイアンマン2」(2010年公開)
マイティ・ソー」(2011年公開)
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年公開)
アベンジャーズ」(2013年公開)


マイティ・ソー (字幕版)

 

マイティ・ソー|ブルーレイ・デジタル配信|ディズニー

作品データ映画.comより)
監督 ケネス・ブラナー
原題 Thor
製作年 2011年
製作国 アメリ
配給 パラマウント
上映時間 115分
映倫区分 G
上映方式 2D/3D

内容(ディズニー紹介ページより)
神の国<アズガルド>で無敵の強さを誇る戦士ソー。だがあまりの傲慢さゆえに神々の王である父の怒りに触れ、最強の武器“ムジョルニア”と全ての力を奪われて人間界へ追放されてしまう。地球に落ちたソーは、天文学者のジェーンら人々に出会い人間の弱さや痛みに触れ、徐々に真の強さを学んでゆく。だがその頃、邪神ロキの陰謀で神の国は危機に瀕し、さらに恐るべき敵がソーを抹殺すべく地球に迫ろうとしていた。力を失ったソーは地球と神の国を守るために戦いへと立ち上がる!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 この作品は、「アベンジャーズ」を観たことで、マーベル作品を最初から観ようと思わなければ観なかった作品だと思うのですが、「アベンジャーズ」につながる要素が盛り込まれていて、「アベンジャーズ」から観始めた自分にはとても興味深く観られました。

 「アベンジャーズ」で悪役となるソーの弟であるロキがある程度悪役として描かれているものの、この作品の中心はあくまでも人間or地球では「神話(神)」として描かれている<神の国>アズガルド出身のソーが、成長というか、傲慢であるが故に奪われた力を取り戻しつつ、ふさわしい自分の姿を追い求めていく様子が描かれています。

 しかし、この作品で一番良かった点は、ソーが力を取り戻しつつ、ふさわしい自分の姿を追い求めていくという物語の主題ではなく、ロキがなぜ「アベンジャーズ」で強力な悪になるのか、という過程が見られたことです。
 そこには、弟である、という絶対に越えられることのない事実があるものの、発端はその弟である、ということだったとしても、その途中には、自分自身が「異形の者」「マイノリティ」であるという事実が明らかになることによって、悪の道に突き進んでいく、という様子が描かれています。

 「異形の者」である、と自分で認識したときのショックは計り知れない者があるでしょうし、マジョリティだと思っていたにも関わらず、実はマイノリティであったと突きつけられることは誰にとっても苦しいものであると思います。
 それによって、悩み、自暴自棄になり、今まで築いてきたと思っていた「自分」というものが崩壊し、そして再構築、再認識していくとき、「今までの出来事をある意味歪んで認識する」ということは誰しもが起きるというか、特に精神的に疲れていたり、発病していたりすると頻繁に起きることでもあります。

 そのような状態になった時に自分でどうするのか。
 そのような状態になった人を目の前にしてどうするのか。
 このことに対しての答えのようなものは、あくまでもこの作品ではソーが主演である故に描かれませんが、「アベンジャーズ」のラストで1つの答えが提示されています。

 この自分が「異形の者」であり「マイノリティ」であると突きつけられ、今までの自分というものが崩壊し、過去のあらゆる出来事を歪んで認識してしまった人にどのような態度を取るのか、ということへの答えが「アベンジャーズ」で描かれていたことがわかり、「アベンジャーズ」でのラストシーンに込められていた意味がつながりを持って理解出来たのが、本当に良かったです。