映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「白ゆき姫殺人事件」

 原作が湊かなえさんの小説(『白ゆき姫殺人事件』(集英社文庫))だということも知らなかったのですが、Amazonでの評価が結構高く、表示されたので気になって観てみた作品です。 


白ゆき姫殺人事件

 
作品データ映画.comより)
監督 中村義洋
製作年 2014年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 126分
映倫区分 G

あらすじシネマトゥデイより)
人里離れた山中で10か所以上を刺され、焼かれた死体が発見される。殺害されたのは典子(菜々緒)で、容疑者は化粧品会社のOL城野美姫(井上真央)。テレビディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、美姫の同僚、家族、幼なじみなどに取材。典子が美姫の同期入社で、美人で評判だった一方、美姫は地味で目立たない存在だったことが報道され……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 前半部分は、軽率な行動をする綾野剛演じる下請けテレビディレクターの赤星にイライラするというか、つぶやきの数に対してフォロワーが少ないにも関わらず、Twitterへのレスポンスがありすぎるような感じがしたり、その赤星が作ったVTRに基づいて展開されるワイドショーの様子などは、軽率という点でリアルな感じがしたものの、物語の展開としては単調に感じました。

 最終的にどうなるのかな、と思って観ていたら、後半になると、前半で単調に思われた様々な伏線が次々に回収されていき、それと同時に出来事の「真相」が明らかになるので、楽しめました。

 振り返ってみれば、予想を裏切るものでも、あっと驚くような展開もなく、同じものを見ていても、同じ出来事を同時に体験していても、自分が観ているもの、自分が感じたことと、他者が観ているものと感じているものは違う、という物語なのですが、印象に残るのは、井上真央の演技です。
 菜々緒も存在感を発揮しているものの、井上真央はあてがきでもしたのかと思うほど自然に、物語で語られる彼女が演じている人物そのものでした。

 また、意図的ではなくても、自分が見ているものと他者が見ているものが違う、ということよりも、ラストで、長年関わっていなかったけれど、2人にとって大事な共通した経験があるからこそ、何年経ってもつながり合うことができるし、支えることができるというのは、とても心温まるシーンでした。