映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「二ツ星の料理人」

 レディー・ガガが主演した「アリー/スター誕生」を観たいなぁ、と思っていたら、「アリー」を製作監督したブラッドリー・クーパーの主演作品がアマゾンで表示され、評価も高かったので観てみました。

 


二ツ星の料理人(字幕版)

 

youtu.be

 

ブラッドリー・クーパー主演 映画『二ツ星の料理人』公式サイト|2016年6月11日(土)公開

作品データ(映画.comより)
監督 ジョン・ウェルズ
原題 Burnt
製作年 2015年
製作国 アメリ
配給 KADOKAWA
上映時間 101分
映倫区分 G

ストーリー(公式サイトより)
パリの一流フレンチレストランの二ツ星シェフが、スキャンダルを起こして姿を消した。彼の名はアダム。シェフとしては最高だが、人間的には欠点だらけの男だ。それから3年、復活をかけたアダムは、かつてのオーナーの息子トニーがロンドンに開くレストランを訪ね、強引にシェフの座に就く。「三ツ星をとって世界一になる」と誓い、パリ時代の同僚のミシェルやヘッドハンティングした女性料理人エレーヌなど才能溢れるスタッフを集める。だが、ブランクの間に、調理方法からレストランの内装まで、料理界のトレンドは劇的に変わっていた。さらに未解決のまま逃げ出した過去のトラブルが彼を襲う。そんななか、遂に客を装ったミシュランの調査員が店に現れる──!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 ミシュランで三ツ星を狙い、狙うだけではなくて実際に二ツ星を獲得した経験もあるシェフが主人公なので、この作品で映し出されるどの料理もとてもおいしそうでしたし、見栄えもとても良かったです。

 けれど、料理は素晴らしいものの、物語としては、才能と実力があり認められていた人物アダムが、自分の弱さから破壊的になり、実際に3年前に何もかもを破壊。
 自ら課した課題を乗り越えて、3年ぶりに戻ってきたアダムが、3年前のような自分の弱さに向き合えるようになったのかというと、そうではありませんでした。

 3年というブランクがあるにも関わらず、料理の腕は落ちておらず、そのオリジナリティも健在。
 だから、その才能と実力で周囲の人たちを従わせるけれど、結局自分の弱さには向き合えておらず、破壊的な行動を繰り返す。
 ドラッグもお酒も女もやめた、と言っていて、実際にその通りなのだけれど、それに依存してしまう、自分自身が抱えているものには手を付けないので、結局違う形でそれが現れます。

 最終的には、アダムのその内面に寄り添い、彼がそれに向き合えるように複数の人物が手を差し伸べるので、なんとかなるのですが、自分自身を含め、多くの人はこんな才能も実力も認められてもいないので、複数の人物が手を差し伸べてくることはありません。
 でも、そう考えるのは日本だからなのかも、ということもあるのかもしれません。

 ラストは救いのある物語ですし、かつての仲間でまた一緒に厨房に立つミシェルによる展開など面白かったのですが、自分が誘った料理人に食材を無駄にするなと言っていたにもかかわらず、作った料理を皿ごと投げ捨てるなどの傍若無人な行動が繰り返される度に、これが許されるのは、彼が二ツ星を獲得したことがあるシェフだからだよな、と思わざるを得ませんでした。