映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「パン職人と美女(Beauty and the Baker)」

 Amazonのドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」を観ていたらオススメとして表示された作品です。
 ドラマは映画よりも観終わるのに時間がかかるので敬遠しがちなのですが、「マーベラス・ミセス・メイゼル」が面白くて、ドラマも良いなという気分だったので観てみました。
 


パン職人と美女

 
作品データIMDbより)
企画 アッシ・アザール
原題 להיות איתה:Lehiyot Ita:"Being with Her"
放送年 2013年
制作国 イスラエル
各話約30分、全10話

内容Amazon作品紹介ページより)
ある偶然の出会いから、この奇想天外な恋の物語は始まる。いまだに両親と暮らし家業を手伝う28歳のパン職人アモス。ホテル王の娘であり、有名な女優でもあるノア。2人の偶然の出会いは、互いにとって忘れられないものとなる。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 物語のプロットとしては、富豪の娘でモデルをしているノアと父親が開いた小さな商店を家族で営んでいるアモスとが出会い、お互いに惹かれ合っていく、というものです。
 アモスは「イケメン」ということなので、現代&男女逆版のシンデレラといった感じです。
 実際の人物をあげて説明するならば、パリス・ヒルトンが郊外で家族経営の商店で働く同じくらいの年齢のちょっと格好良い男と出会って恋をする、という感じです。

 話の展開としては、男女を別にすればシンデレラのように容易に想像がつくのですが、この作品が僕にとって面白かったのは、舞台がまずイスラエルだということです。
 ヘブライ語は習ったことはあって、ちょっとだけなら読むことも出来ますが、しゃべることは出来ませんし、イスラエルにも(主に政治的な理由で)行ったことはありません。
 普段見ている映画も大体は英語なので、ヘブライ語でしゃべっている人たちを見たり、あるいはイスラエルで暮らす人たちの様子というものをほぼ知らず、文字だけは知っていて、ちょっとだけ読めるというものだったので、ヘブライ語をしゃべり、イスラエルで暮らす人たちが出てくるだけで興味深かったです。

 また、ノアとアモスがお互いに惹かれ合っていく様子というか、関係が縮まっていく様子も、いきなりセックスとかではなくて、28歳という年齢にしてはかなりゆっくりとしていて、その少しずつ近づいていく様子もとても良かったです。
 ノアがアモスに声をかけた理由もなんとなく、という感じで、その「なんとなく」には恋愛に発展するだろうという期待もあるのですが、それをお互い言うことなく出会って、お互いに惹かれ合っていくという、そのステップの進み方が、(富豪の娘で有名人のモデルと庶民ということではなく)誰かと恋愛をするということの良さを観ている人にうまく伝えていると思いました。

 また、アモスの周りにいる人物として登場するのは友人ではなく家族で、弟は「良い女」がいれば誘いセックスしようとし、後先考えることもなく、周りに迷惑をかけるのだけれどなんだか憎めない奴で、高校生の妹はアモスにだけレズビアンだということを最初伝えているという設定です。

 ユダヤ教の解釈については詳しくありませんが、娘がレズビアンだと父親にカミングアウトする場面では、「ラビ(ユダヤ教の指導者)に会いに行こう」「ラビに会って同性愛が治った人を知っている」ということを言います。
 当然娘からは反発というかあきれられるのですが、特定の宗教や国に関わらず、セクシャルマイノリティの人たちを巡る状況というのはあまり変わらないのだな、と感じました。

 ちなみにこの作品は1話30分ほどで終わるので、1話がサクッと終わるのも良かったです。