映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

オカヤイヅミ『ものするひと 1』

 以前から気になっていた漫画がKindle版だと半額以下だったので、読んでみました。
 最初に知ったのは、下の番組なのですが、年末にもこの漫画についてどこかで話を聴いた気もします。

マンガで文学を知るための3冊【宇垣アナも感動】:アフター6ジャンクション

 


ものするひと 1 (ビームコミックス) Kindle版

ものするひと 1 オカヤ イヅミ:コミック | KADOKAWA

 

内容KADOKAWAホームページより)
杉浦 紺、30歳、職業、小説家。
雑誌の新人賞を受賞後、警備員のバイトをしながら、小説を書いている杉浦紺(30)。
“先生”でも“天才”でもない、若き純文作家の日常をのぞいてみませんか?
◎巻末対談 「ものするひとたちのリアリティ」 滝口悠生(作家)×オカヤイヅミ
もの・する【物する】ある動作をする。ある物事を行う。「言う」「食べる」「書く」など種々の動作を婉曲にいう語。(『広辞苑』第七版より)

感想
 内容紹介にも書いてあるように、雑誌の新人賞を受賞して、単行本も出ているけれど、作家としての収入だけでは生活が出来ないので、警備員としても働いている30歳の小説家が主人公です。
 警備員としての職場では「せんせい」とは呼ばれているものの、作品について話をすることもなく、そもそもなぜ「せんせい」と呼ばれているかもあまり知られていません。

 けれど、まだ新人ということもあり、本人も新しい小説を作る意欲もあり、担当編集者とのやりとりもあり、それらの小説に関わることを考えたり、書き残していたり、担当編集者や小説家仲間とのやりとりという、駆け出しの作家の日常が描かれています。

 小説自体は今までも読んできましたが、身近に小説家という存在がいないので(中学校の部活の先輩のお父さんが小説家だったくらい)、どのような暮らしをしているのか全く知りませんでした。
 なので、この作品で描かれる、小説家の日常、言葉を考えている様子、その言葉を書き残している様子、小説家仲間とのやりとりや彼らと会う場所(文壇バー)が僕にとっては全く知らない世界のことだったので面白かったです。

 同時に、主人公と出会う女子大学生が(これからなるかも知れませんが)恋愛とかではなく、小説家という生き方に触発されて、これからの生き方を少しずつ考えていくという展開も、続きが楽しみになる内容でした。