映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ぼくと魔法の言葉たち」

 Amazonで表示されたので覗いてみたらレビューの評価が高かったので観てみた作品です。
 


ぼくと魔法の言葉たち(字幕版)

 

youtu.be


映画『ぼくと魔法の言葉たち』|4/8(土)よりシネスイッチ銀座他にて愛と希望の全国ロードショー!

作品データ映画.comより)
監督 ロジャー・ロス・ウィリアムズ
原題 Life, Animated
製作年 2016年
製作国 アメリ
配給 トランスフォーマー
上映時間 91分
映倫区分 G

内容(公式サイトより)
サスカインド家の次男オーウェンは、2歳から言葉を失い、6歳まで誰ともコミュニケーションを取れなくなってしまっていた。失意に暮れながら過ごす父と母は、ある日、オーウェンが発する意味をなさないモゴモゴとした言葉が、彼が毎日擦り切れるほど観ていたディズニー・アニメーション『リトル・マーメイド』に登場するセリフであることに気づいた。意を決した父が、オーウェンが大好きなディズニーキャラクターのオウムの“イアーゴ”になりきって語りかけると、まるで魔法のように、オーウェンが言葉を返した! 数年ぶりの息子の言葉にこみ上げる涙をこらえながら、イアーゴとしての会話を続ける父。こうして、父と母、そして兄による、ディズニー・アニメーションを通じた「オーウェンを取り戻す」ための作戦が始まった!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 自閉症(広汎性発達障害?)のオーウェンがディズニー作品によって言葉を獲得していく様子を描いたドキュメンタリー作品です。
 ディズニー作品を沢山観てきたとは言いがたい僕ですが、ディズニー作品への愛着とか内容を把握しているかは、この作品には全く関係がありませんでした。
 様々なディズニー作品を、オーウェンオーウェンの家族が語る内容に合わせて、当てはめていく感じで使われていました。

 オーウェンが高校(?)を卒業する少し前から、卒業しひとり暮らしを始めるところまでの様子と、両親と兄にとっては晴天の霹靂かのようだったオーウェンが言葉を失い、また獲得していく様子と、成長していく彼を見守っていく中での出来事が語られます。

 すごく印象的だったのは、冒頭で流れる、オーウェンが2歳の時のホームビデオで、そこでは家族と一緒に楽しそうに過ごしている様子が写されていました。
 そこから突然、3歳になるとオーウェンは言葉を失います。
 ディズニー作品の台詞で言葉を再獲得していくまで、それが数年間続きます。
 この、2歳の時は特に他の子と変わらないように見える子どもが、そのあと突然言葉を失う、ということがあること自体、とても驚きました。
 こんなことをもあるのか、と。

 気になったのは、公式サイトなどで沢山出てくる「自閉症」という言葉です。
 オーウェンは確かに「変わっている」ように見えるけれども、彼が「自閉症」なのかどうかは医師の見解が述べられているわけではなく、受け答えもしっかりしているし、僕には彼が「自閉症」なのかどうかはよく分かりませんでした。

 フランスで行われた「自閉症」の国際会議(?)でオーウェンが講演する様子が映されるのですが、そこで語った言葉も印象的でした。
 「僕たちは他の人たちが望んでいることを望んでいます。けれど、その方法をちゃんと教えてもらってこなかったのです。」というようなことを言っていました。
 人と関わることを拒んでいる訳ではない、ということを語っていたのですが、これは「自閉症」に限らず、あらゆる人に当てはまるのではないかと感じました。
 いろんな事があって、人との関わり方をゆがめられてしまったり、関わることにおびえてしまうことがある。
 人と関わるということをサポートし、向き合ってくれる人がいれば、どんな人であっても、関わっていくことが出来るし、本来どんな人も人と関わりたいと願っているのだ、ということです。

 そのサポートや向き合ってくれる人がいるからこそ、オーウェンが僕には「自閉症」には見えないほどに言葉や人と向き合うことが出来ているのかな、と思いました。