映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

萩本創八、森田蓮次『アスペル・カノジョ(1)』

 普段から「発達障害」だとか、あるいは最近だと「HSP」関連の本を読んでいるからか、オススメ作品として表示された漫画です。
 タイトルがそのまんま「アルペル・カノジョ」なので、アスペルガーの彼女が出てくる話だということは分かったのですが、ちょっと調べてみたらレビューの評価も高かったので手に取って読んでみました。
 


アスペル・カノジョ(1) (コミックDAYSコミックス) Kindle版


「アスペル・カノジョ」既刊・関連作品一覧|講談社コミックプラス


内容講談社ホームページより)
新聞配達で生計を立てている売れない同人作家・横井の家へ、鳥取から突然やってきたのは「ファンだ」という少女・斉藤さん。彼女は見ているもの・感じている事・考えやこだわりが、他の人と違っていて……。これはそんな「生きづらい」ふたりが一緒に暮らして、居場所を探す、日々の記録。

感想
 表紙だけでは分からなかったのですが、絵が自分にはちょっと苦手というか、慣れない感じではあったのですが、内容は興味深いものでした。

 主人公の横井は、自分が「発達障害」的な要素を持っていることを自覚していて、それもあって、沢山の他人と積極的に直接的に関わらないで過ごせるように過ごしている。
 今まで彼女がいたこともなく、バイトをして生計を立てながら漫画を描いて、漫画でも少し収入を得ながら生活をしている。

 そんな横井の自宅に突然やって来る横井の漫画のファンである斉藤さん。
 彼女の発言や行動に驚くものの、横井は自分自身でも「発達障害」という要素があることを自覚しているので、彼女の言動を受け入れていく。

 いくら自分が近い要素を持っていても、あるいは作品中で横井の口から語られるように、斉藤さんのような人を「引き寄せてしまう」経験を重ねてきたとしても、いきなり誰かが家にやって来て一緒に生活するというのはすごくハードルが高いことだと思うのですが、分からなくはない、という微妙な展開でもあります。
 今でも見かけますが、ネットスラングっぽく言うならば、横井がメンヘラホイホイで、斉藤さんがメンヘラということになるのでしょう。

 でも、この作品の良いところは、「メン」を強調するのではなく、あくまでもなぜそのようなことを斉藤さんがしようとするのか、したのか、ということを横井が理解しようとする姿です。
 メンタルがおかしいから行動もおかしいと決めつけることなく、1つ1つの行動を理解しようとする姿はとても素晴らしいと思います。

 けれど同時に横井が耐えきれなくなることはないのだろうか、とも思います。
 まだ、二巻までしか出ていないので、横井がどうなるのかを含めて今後の展開が楽しみです。