映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

 昨年のアカデミー賞で、主演のゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当した辻一弘さんがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したということで、日本でも大きく報道された作品です。
 主演のゲイリー・オールドマンアカデミー賞を受賞したので、どんな作品なのか観たいな、と思っていたら、Amazonプライムで観られるようになっていました。
 


ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 (字幕版)

 

作品データ映画.comより)
監督 ジョー・ライト
原題 Darkest Hour
製作年 2017年
製作国 イギリス
配給 ビターズ・エンド、パルコ
上映時間 125分
映倫区分 G


あらすじシネマトゥデイより)
第2次世界大戦勃発後、ナチスドイツの勢いはとどまることを知らず、フランスの陥落も近いとうわさされる中、英国にもドイツ軍侵攻の危機が迫っていた。ダンケルクで連合軍が苦戦を強いられている最中に、英国首相に着任したばかりのウィンストン・チャーチルゲイリー・オールドマン)がヨーロッパの命運を握ることになる。彼はヒトラーとの和平か徹底抗戦かという難問を突き付けられ……。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 僕自身が歴史にあまり興味を持っていないからか、ウィンストン・チャーチルという名前は知っていても、どんな人物なのか、どんなことをした人なのかについては全く知りませんでした。

 この作品では、チャーチルが初めて首相となってからの数週間の出来事が描かれています。
 チャーチルの首相としての在任期間は一期目が1940年5月10日~1945年7月26日、二期目が1951年10月26日~1955年4月5日なのですが、一期目の就任に至る経緯と、就任直後である1940年5月の様子が描かれています。

 物語の内容としての面白さは、後半部分で、それはチャーチルにとって全く縁がなく、乗ったことのなかった地下鉄に1人で乗り、居合わせた乗客たちと話し合うという所から始まり、その体験を元にした演説です。

 前半部分は単調にも感じられるのですが、その部分で惹きつけられるのは、チャーチルを演じるゲイリー・オールドマンの演技と、本当にこれがゲイリー・オールドマンなのか?と思う特殊メイクです。
 僕の知っているゲイリー・オールドマンとは全く違う人物がそこにはいて、これはやっぱりアカデミー賞を受賞するだろうな、ということがよく分かる内容でした。

 ちょっと残念なのは、チャーチルは政治家としての経歴が長いので、首相になるまで様々な出来事を経験しているのですが、それらについてよく分からない点です。
 過去の失策とも言える出来事について言及されることはあるものの、そのときチャーチルはどういう立場だったのか、どうしてその政策を取ったのか、ということを含め、首相になるまでの経歴がよく分かりません。

 30代で大臣になり、そこから30年経ち首相になるのですが、その30年の出来事が抜けているので、どうして、この時チャーチルが首相として選ばれたのか、どうして首相がチャーチルでなければならなかったのかがよく分からないままでした。

 政治家としての経歴が長いのであえて短い期間を切り取ったのは分かりますが、首相に選ばれる前提の部分をもう少し分かりやすく描いて欲しかったな、と思いました。