映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「プライズ~秘密と嘘がくれたもの~」

 Amazonで表示され、レビューの評価が高かったので、事前情報が全くない状態でしたが、見てみた作品です。
 


プライズ 秘密と嘘がくれたもの(字幕版)

 

作品データ映画.comより)
監督 パウラ・マルコビッチ
原題 El premio
製作年 2011年
製作国 メキシコ・フランス・ポーランド・ドイツ合作
上映時間 109分

あらすじIMDbより翻訳)
7歳の女の子セシリアは、大きな秘密を守らなければなりません。しかし、彼女は秘密にしなければならないことについて完全には知らされていません。彼女の家族の生活は彼女の沈黙にかかっている。しかし、彼女は沈黙を守ったままでいられるのか?セシリアと彼女のお母さんは、アルゼンチンの軍事抑圧から隠れて生きています。セシリアは自分自身にこう問います―自分は何を言わなければならないのだろうか?―と。彼女は何を本当に信じ、お母さんや他の人たちから愛されるために何をするべきなのか?

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 大学時代の第二外国語スペイン語だったので、主人公の女の子セシリアが話している言葉がスペイン語か、あるいはそれに近いポルトガル語であることは分かったのですが、なぜ彼女と母親が海辺の朽ち果てた家にいるのか、セシリアが学校に通っていないのか、ということを理解するのにかなり時間がかかりました。

 物語が進んでいくにつれ、アルゼンチンが舞台であること、軍政が敷かれていた時代の出来事だったことが分かってきます。

 登場人物はセシリアと母親、セシリアが通うことになる学校で仲良くなった女の子と先生くらいで、その他の人物は殆ど登場しません。

 母親の行動も仲良くなった女の子の急変するセシリアへの態度も、少しずつ明らかになってくる物語の背景によって、理解出来るようになります。

 けれど、なんとも切ない物語でした。
 嘘と本音を分けないと生きていけない時代に、嘘をつくことや秘密を持つことを知らない子どもたち。

 ラストも悲しみに満ちた場面で終わりますが、唯一の救いは、犬のジム(JIM)だけは人間の言葉を使わないから、嘘をついたり秘密にしなくちゃいけないこともないから、心通じているという点です。
 セシリアを演じているPaula Galinelli Hertzogの演技も良いのですが、同じくらい犬のジムもとても良い演技(?)をしていました。
 ジムがいなかったら、全く救いのない物語になっていたように思います。