映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「家族はつらいよ」

 以前「男はつらいよ」を観て面白かったことや、東日本大震災が起きた日に載っていた新聞記事を読んで改めて山田洋次監督作品を観てみようと思いました。

 

digital.asahi.com

   


家族はつらいよ

 

youtu.be


作品データ映画.comより)
監督山田洋次
製作年 2016年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 108分
映倫区分 G

 

あらすじシネマトゥデイより)
長男・幸之助(西村雅彦)の一家、次男・庄太(妻夫木聡)と3世代で同居をする平田家の主、周造(橋爪功)。妻・富子(吉行和子)の誕生日であることを忘れていたことに気付き、彼女に何か欲しいものはないかと尋ねてみると、何と離婚届を突き付けられる。思わぬ事態にぼうぜんとする中、金井家に嫁いだ長女・成子(中嶋朋子)が浪費癖のある夫・泰蔵(林家正蔵)と別れたいと泣きついてくる。追い掛けてきた成子の夫の言い訳を聞いていらついた周造は、思わず自分も離婚の危機にあることをぶちまけてしまう。

 

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★☆☆☆

感想
 インタビュー記事にも出てくる「幸せの黄色いハンカチ」は中学生くらいの時に見たことがあり、今でも鮮明に覚えています。
 インタビュー記事でその「幸せの黄色いハンカチ」の良さを勝手に期待していたこともあるのですが、この作品は僕にはいろんな部分で、うーん、と唸ってしまうものでした。

 唸ってしまう理由としては、作品がうまく作られているとか、ちりばめられた伏線が悉く回収されているというようなことではなく、時代錯誤感というか、リアリティのなさです。
 この作品って、そんなに昔に作られたものだったっけ?と何回も見直してしまいました。

 製作が2016年、つまり今から3年しか経っていないのですが、橋爪功演じる父親周造は仕事を引退しているにもかかわらず毎晩のように飲み歩き、酔っ払って帰ってくれば、自分が脱いだ洋服を片付けさえしない。
 長男の妻である嫁(夏川結衣)や妻(吉行和子)が周造の始末をし、言葉づかいも夫婦間で今時そんな言い方してる家族っているの?と疑問に思うものでした。

 違和感は他にもあって、長男(西村雅彦)、長女(中嶋朋子)、次男(妻夫木聡)というきょうだい構成なのですが、それぞれが10歳ずつくらい歳が離れているので、ものすごい違和感がありました。

 僕は妻夫木聡と同じくらいの世代なので、今ではあまり珍しくなりましたが、当時は「高齢出産」と言われる年齢で僕が産まれているので、両親とはちょっと歳が離れています。
 けれどというか、だからこそ、この映画の父親の振るまいにはうんざりするし、母親の父親に対する言葉使いや態度ももの凄い違和感がありました。

 観ていて最初から気分が悪くなったのですが、だからこそ、「家族はつらいよ」というタイトルにつながる出来事が起きるのですが、それでも「これ30年前の作品じゃないよね?」と思う時代錯誤な印象を受けました。
 それは、夫婦間や義両親に対する言葉遣いや態度だけではなく、「うな重の上を出前する」というシーンも含まれます。

 うなぎ自体絶滅を危惧されているにも関わらず、未だにそこら中で売られていることにうんざりしていますが、その件はまだちょっと横に置いておいても、「家族が集まるからうな重を出前する」というのが、「サザエさんでは観たことがあるけど」というレベルで、時代の違いを感じます。
 もし、これがピザとかだったらまだ分かるような気もするのですが、そういう細かい所も含めて、これはいつの時代の話なのだろうか、と思いました。

 そして、ラストシーンも、確かにこの言葉がほしかったのかも知れませんが、足りなさすぎます。
 もっと踏み込んで関係を修復しようとする姿勢がない人とは、(年齢関係なく)今の人は簡単に離れていくと思います。
 何せ、人生100年と言われている時代なので、残りの30年弱をこのまま我慢して生活する必要なんてないんですから。