映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし」

 子どもたちから「観たい」というリクエストがあったので、子どもたち3人と一緒に観に行ってきました。
 なんか子どもたちとの面会は僕と映画を観る、という流れが定着しつつあるような感じになってきていますが、長男は中学生になったので、いつまでこれが続くのだろうか、とも思ったりします。

 

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『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』公式サイト

 

作品データ映画.com より)
監督橋本昌和
製作年 2019年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 100分

ストーリー(公式サイトより)
オーストラリアの秘境”グレートババァブリーフ島”で、いまさら初めての新婚旅行を満喫中の野原一家。その夜突然ひろしが消えた。
探しに出かけてしんのすけたちが見たものは、仮面族の村で行われていたド派手な結婚式に参列する、花婿姿のひろし!
宝欲しくば、花婿贈れ、天の指輪輝くとき……
その島には、50年に一度、金環日食の日にお姫様に花婿を差し出すことで、ご褒美としてお宝が得られるという伝説があった。
その花婿に選ばれてしまったのが、ひろしだったのだ。
まさかの”ひろし”=お宝のカギ!!
仮面族VS世界中のトレジャーハンターVS野原一家の、超熾烈な三つ巴のひろし争奪戦!!!!果たして、しんのすけたちは、ひろしを奪還し、無事に春日部に帰ることができるのか!?
大冒険の先に、野原一家が見つけたものとは…!?

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 「主夫」として毎日何時間も一緒にいた去年までの生活だったのが、突然2ヶ月に1回くらいの面会になったのですが、限られた面会だからこそ、家族って何なんだろうとか、どう過ごすのが一番良いんだろうかとか考えてしまいます。
 考えたところで親子関係の正解はなくて、僕の中では「続いていく」ということが一番重要かなと思っています。
 とりあえず、子どもたちは「映画を観たい」ということでも、こうして関係が続いていっているので、これで良しと受け止めています。

 で、今回の映画は「クレヨンしんちゃん」。
 今までもクレヨンしんちゃんの映画は子どもたちのリクエストに応えて何回か一緒に観てきましたが、今までの作品と全くちがったのは、しんのすけの母であるみさえが主人公だったことです。

 今までの作品で活躍するのは、しんのすけはもちろん、しんのすけの友だちである、まさおくん、ねねちゃん、ぼーちゃん、かざまくんだったり、父ひろしでした。

 みさえが中心となって展開していく作品は記憶にありません。
 もちろん途中で活躍する場面がある作品はありますが、そういう意味ではペットの犬シロと同じような扱いです。

 ですが、今回は誘拐されたひろしをみさえが探し求めていくという展開で、終始みさえが中心となって物語が進みます。
 所々で出てくる台詞などで、みさえがいかに家族ことを考えているか、あるいは「女性」ということで色んなものを背負っているかが触れられます。
 赤ちゃんであるひまわりを育てているので、「こんなに重いものいつも持ってるの!?」とバッグの中を具体的に言うシーンがあるなど、世の中の「母」たちが物理的にも沢山のものを日常的に背負っていること、それが当たり前だからこそ、他の人には全く知られていないことを描いています。

 野原家は、ひろしが働き、みさえが専業主婦という昭和の家族像(参照:専業主婦世帯と共働き世帯の推移 - 厚生労働省)を前提としているので、仕方がないと思うのですが、それでも女性が沢山のものを背負っていて、シャドーワーク(見えない仕事)をこなしていることを伝えようとしているのが分かります。

 クレヨンしんちゃんの漫画の連載が始まったのが1990年で、ちょうど専業主婦世帯と共働き世帯が同じくらいの割合の時期だったので、男性が働き、女性が専業主婦という「家族の形」になっているのは、仕方がないことだと思います。

 が、今回の映画では、中途半端に、現代日本の女性を取り巻く負の状況をみさえを通して描いている気がしました。
 中途半端というか、数年前に騒がれていた内容を描いている、つまり、「もうその議論は終わって、次の段階に進んでいるのでは?」と感じました。
 具体的には、女性「だけ」に家事育児が押しつけられているということはある程度周知されていて、今はそこから進んで、「だからといって男性に何もやらないと怒っても仕方がない。むしろ、男性たちもいろいろなものを押しつけられている。それがおかしくないか?」という議論になっていると思うのです。

 もちろん、女性たちが「当たり前」のように家事育児の中心を担わされている現状は変わりませんし、未だに多くの家庭ではそのような状況にあるのも分かります。
 けれどというかだからこそ、「周りの人たちからは見なくて、知られていないかも知れないけれど、女性たちはいろんなものを背負っている」ということを伝える内容では物足りなくて、それでも女性たち(というかいろんな家族)の背中を押すというか、勇気づける展開にして欲しかったと思います。

 子ども向け映画ですし、クレヨンしんちゃんなのでもちろん所々笑えるシーンはあったものの、社会問題絡めるならもっとちゃんと絡めて欲しいし、勇気づけたり、それでいいんだよと認めたりして欲しいと思いました。
 もしそれが出来ないというか今回のような中途半端に「女性は色んなものを背負っている」「女性は強い」みたいなものを見せられるのであれば、そんなもの全く抜きにした展開にすれば良かったのにな、と思いました。