映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「アノマリサ」

 Amazonで割と評価が高かったので観てみた作品です。
 最近、映画を観る時間もなくなってきたので、評価が高くて短かった(90分)というかなり雑な理由で観ました。

 


アノマリサ

 
作品データ映画.comより)
監督 デューク・ジョンソン
原題 Anomalisa
製作年 2015年
製作国 アメリ
上映時間 90分


内容Amazonより)
シンシナティへの出張旅行で決まり切った日常から切り離されたマイケルは、自分に欠けていた何か、あるいは何者かに直面することになる。批評家絶賛、チャーリー・カウフマンの新作には、愛と笑い、そして孤独が絶妙に絡み合っている。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 モーションキャプチャの映画だということ自体も知らずに観始めたので、最初はビックリしたものの、物語の展開には引き込まれました。

 どんな人も声も自分と同じ声で聞こえてくる。
 タクシーの運転手も、ホテルの従業員も客も、かつての恋人も、すべて自分と同じ声。
 そんな中、ふと自分とは違う声が聞こえて来る。
 なんとかその声の主を突き止め、近づいたのだけれど、結局、その相手も一旦親密になった後は、自分と同じ声になってしまう。

 物語の展開としてはこんな感じなのですが、この映画を作った人(たち)が伝えたかったことが、透けてくる感じが少し残念でした。
 モーションキャプチャも良かったし、伝えたいことも分かる。
 けれど、僕が求める映画は、もし伝えたいことがあるのだとしても、色んな捉え方が出来るものが理想です。

 今回の作品で言えば、自分と他者との関係を表していて、自分にとってどうでも良い人と自分にとってとても大切な人とが結局同じ声で聞こえてくる、つまり自分にとって大切な人がどうでも良い人になりどうでも良いと思っていた人が実は大切な人である、しかも、みんな自分と同じ声を持っているので、自分と他者との境界線の曖昧さを表しています。

 モーションキャプチャの作りがうまいなと思いながら、あまり物語の内容には入り込まずに観ていたのですが、後半の大切だと思っていた人も親密になるからこそ、自分との境界線がうまく引けなくなる、という点は興味深かったです。

 僕は他者との距離、境界線をうまく取れない(と思っている)ので、親密になった途端に、自分との境目が分からなくなってしまう、そして、結局うまくいかなくなる、という展開は(12年間の結婚生活が終わったことに対しての)示唆的な感じがしました。