映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて」

 Amazonプライムで観られる作品を眺めていたらレビュー数は少なかったものの、高い評価をしている人がいたので何となく見てみました。
 あまり長い時間の作品を見る時間がなくなってきて、90分くらいだったということも大きな理由です。
 


マリリン&モナ 踊って、泣いて、輝いて

 

作品データ映画.comより)
監督 ラシッド・ブシャール
原題 Just Like a Woman
製作年 2012年
製作国 アメリカ・フランス・イギリス合作
上映時間 87分

内容Amazonより)
結婚10年目のマリリン。パートで糊口を凌ぎながらも、ベリーダンスの練習に励んでいた。モナは夫と姑の3人暮らし。子宝に恵まれず悩む中、夫の店で働き、常連客のマリリンとダンスを楽しむ日々。ある日マリリンは職場で解雇を宣告され、失意の中帰宅すると失業中の夫が浮気していて...。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 勤務先の近所のお店で働いているので声をかけたことはあるけれど、友だちという関係ではなく、でもある時お互いに起きた出来事によって、一緒に旅をすることになり、関係を深めていく、という物語です。

 この作品が良いなぁ、と思ったのは、原題の「Just Like a Woman」を表している物語になっていると感じたからです。
 難しくない単語なので逆に訳すのがとても難しいですが、「1人の女性として」といった感じでしょうか。
 「1人の女性として」生きていく時に立ちはだかる、男性よりも調整弁として扱われる雇用実態だったりとか、「子どもを産め」というプレッシャーだったり、暴力を振るわれたりといった出来事が描かれます。

 原題では「a Woman」となっているので、そのまま「1人の女性」の目の前に起きる出来事に焦点を当てると、悲惨というか、負の面が強調されるように思えるかもしれませんが、マリリンとモナという2人だからこそ乗り越えていくことが出来ることを描いていることもすごく良かったです。

 絶望するような、あるいは絶望とまで行かなくても辛い情況に追い込まれて、それがどんなに相手が悪いとしても、1人で立ち向かっていくことは難しいです。
 それは、女性だけではなく、どんな人でもそうだと思います。

 けれど、この作品では、「1人の女性として」生きていく時に立ちはだかる様々な困難な情況を描きながらも、マリリンとモナという2人だったからこそ乗り越えていける姿が描かれています。
 その点がもの凄く良かったです。
 1人じゃ立ち上がることも出来ない情況でも、隣りに誰かがいれば立ち上がることが出来るし、助けを求めることも出来るし、力づけられもする。

 旧約聖書ヘブライ語聖書)の冒頭で神が人間を作ったときの言葉を思い出しました。
 「人がひとりでいるのはよくない。その人にあう助け手をつくろう。」

 殆どの人はこの言葉を神が男性と女性に作ったという意味で読んでいますが、僕はもっと根本的にというかシンプルに「人がひとりでいるのはよくない」だからだれかパートナーや助け手が必要だということを表していると考えています。
 このシンプルな人間が生きていく上での当たり前ともいえることを描いているように感じました。
(ちなみに、この作品の中で宗教の話は出てきません。)