映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「フランシス ハ」

 以前見た「レディ・バード」の監督が主演として出ているということで遡りウォッチリストに入れておいたら、Amazonプライムで観られるようになっていたので見てみました。

 


フランシス・ハ 


作品データ映画.comより)
監督 ノア・バームバック
原題 Frances Ha
製作年 2012年
製作国 アメリ
配給 エスパース・サロウ
上映時間 86分

あらすじシネマトゥデイより)
バレエカンパニーの研究生で27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、大学在籍時の親友ソフィー(ミッキー・サムナー)とニューヨークのブルックリンで共同生活をしていた。ある日、彼女は恋人に一緒に暮らそうと誘われるが断り、その後別れることに。ところがソフィーがアパートの契約更新を行わず、引っ越しすると言ったことで……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 製作されたのが2012年で、主人公は27歳ということで、同じ年に同じような年齢を過ごしてきた身として、親近感を覚える作品でした。
 僕が27歳だったときは、何をしていたのかというと、ちょうど娘が生まれ、3人の子どもの親になり、自分が「主夫」だということを受け入れられつつあったときです。

 タイトルの「フランシス ハ」の、特に「ハ」の意味が分からなかったのですが、最後の最後で分かるようになっています。

 主人公のフランシスはカリフォルニア州からニューヨークへバレーダンサーになることを目指してやってきていたけれど、実習生という身から抜け出すことが出来ない。
 周囲から他の道を勧められても中々受け入れられず模索し、同時に一緒に暮らしていた親友は彼氏との距離が近づいたことで家から出て行き、婚約、結婚、妊娠と自分とは全く違う世界へ行ってしまったように感じてしまう。

 その自分がこれからどうやって生きていくのか、そして同世代の身近な友人が違うライフステージに入ったことへの戸惑いをとても上手に捉えていると感じました。

 この作品が良いな、と思ったのは、あくまでもフランシスが「諦めた」という視点ではなく、「受け入れた」という感じで描いている点です。
 諦めるということも、仏教用語的には「明らかに見極める」ということなので、ネガティブな意味はないようなのですが、ネガティブな選択の上に今があるという訳でも、また、自分から選び取ったというポジティブな選択でもなく、あくまでも「受け入れた」結果、評価されたという点が良いな、と思いました。

 僕自身も振り返ってみれば、自分がなりたかったものにはなれず、諦めたわけでもなく、かといって何かを選び取ったわけでもなく、誰かから、何かから提示されたものを受け入れ、それが評価されて今の仕事をしていたり、あるいは3月までしていた教員という仕事がありました。
 多くの人はそういう現実を生きているのかな、と思わせてくれる、僕にとっては少し生きる勇気をもらえる作品でした。