映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

奥田亜希子『心臓』

 いつも(ラジオクラウドで)聞いているラジオ番組、アフター6ジャンクション。
 先日、ライター・研究者のトミヤマユキコさんが「『人生のままならなさ』を味わえる漫画4選」ということで、漫画が紹介されていました。

www.tbsradio.jp

 
 その中で、『ゆりあ先生の赤い糸』と『あした死ぬには、』は読んだことがあったので、寡作ということも引っかかったので、この作品を読んでみることにしました。


心臓 (torch comics)

 

トーチweb 心臓

 

内容(トーチwebより)
ページが光っているような、眩いトーンワークが照らし出す胸の奥底。
吹き溜まりだと感じていた場所にあったのは、思いの外に美しいものかもしれない。
どこまでも繊細な才能が、研ぎ澄まされた感性で描く私たちのドラマ。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 短編集なのですが、今まで読んだことがない不思議な世界観の作品でした。
 僕が特に印象に残ったのは、表題作でもある「心臓」です。
 描かれていることを「理解」しようとしても中々うまくいかず、読み返すのですが、やっぱり未だに「理解」は出来ません。
 けれど、とても印象に残り、言語化出来ないもどかしさを感じます。

 でも、その「言語化出来ないもどかしさ」を描くことが漫画のもつ大きな役割や力だとすると、この作品はすごく完成されたものなのだと思います。

 他にも「ニューハワイ」や「神様」といった作品は、トミヤマさんが紹介しているように「人生のままならなさ」をそのまま味わえる内容になっています。

 それぞれが全く違う感じでありつつも、関連し合っているようでもあり、読む人によって、どれかあるいは複数の作品に引っかかるものがあると思います。