映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「チェリーボーイズ」

 僕は普段ラジオだけでなく、Podcastもいくつか聞いているのですが、その中に「本と雑談ラジオ」という番組があります。
 

booktalkradio.seesaa.net

 
 漫画家の古泉智浩さんと歌人枡野浩一さんがタイトル通り「本(の話)と雑談」をする番組なのですが、そこで古泉さんの作品について触れられていて、映画化もされているとのことだったので、観てみたのが今回の作品です。


チェリーボーイズ

youtu.be

 

映画『チェリーボーイズ』公式サイト

 

作品データ映画.comより)
監督 西海謙一郎
製作年 2018年
製作国 日本
配給 アークエンタテインメント
上映時間 113分
映倫区分 R15+

ストーリー(公式サイトより要約)
 とある田舎町。歯科医院の前に停車している車には、マスクを被った黒スーツ姿の3人の男がいた。目の先には、医院で働く笛子(池田エライザ)の姿があった。
 その数週間前。4年ぶりに、国森(林遣都)は幼馴染の親友である吉村(栁俊太郎)と高杉(前野朋哉)に再会した。彼はバンドを組むために東京に行っていたが、酒屋を営む父親・信明(吹越満)の病気を機に、地元に帰ってきたのだ。気づけば25歳にして、3人とも女性と縁のない生活を送っていた。
 さらに、3人は学生時代からの脅威でもある“プーチン”こと中出(石垣佑磨)に、いまだにイジメられ、童貞をバカにされていた。ナンパする勇気もなく、風俗に行く度胸もない彼らだったが、ある日、国森は童貞を捨てるために、3人でスケベな女を襲うという、とんでもない計画を企てる。そのターゲットに選んだのは、東京で風俗嬢をしていた過去を持つなど、さまざまな噂が絶えない笛子だった。
  明らかに、3人の中で何かが変わろうとしていた――。果たして、着々と計画を進める彼らは童貞を卒業し、理想とするオトナになることはできるだろうか?いざ、脱童貞大作戦へ!

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★☆☆

感想
 
内容が内容だけに笑えませんでした。
 25歳になるまで童貞でレイプしてまでセックスしようとする。
 その考え方自体がおかしいぞ、と当然言われるし、本人たちも留まろうとするのですが、それでもある出来事をきっかけに決行しようとします。

 襲われる女性である笛子が言う「キモい」という言葉そのままの感想を終始僕も感じました。

 けれど、全くの駄作かというとそうとも言えないのが、ちょっと都会からは離れた場所に暮らす(それこそこの物語の舞台は古泉さんが暮らす新潟を感じさせています)閉塞感や、いつまでもついてくる地元でのカースト(上下関係)の苦しさです。

 僕が学生だったときにはスクールカーストという言葉はありませんでしたが、今気付けば確かにあったスクールカーストがイヤでたまらず、地元ともいえる中学校までの同級生たちとは連絡を取ろうという気はおろか、会おうという気持ちも起きません。
Facebookでは何人かつながっているものの)
 何故連絡を取りたくないのか、会いたくないのかというと、そのいつまでもついてくるカーストがイヤだからです。

 その時の苦しかった、周囲と無理に合わせようとしていた自分のことをどうしても思い出してしまうからです。
 けれど、僕は離れることが出来ますが、ここに登場する3人、少なくとも国森は地元に帰らざるを得ない、留まらざるを得ない理由があり、それが僕とは決定的に違います。

 僕は会いたくなければ離れていれば良いのですが、国森たちはそれが出来ない状況にいます。
 そういう苦しさをいつまでも伴いながら暮らしていくことはつらいだろうし、そこからもがこうとすること自体は理解出来ます。

 でも、だからといってそこから向かうのがレイプというのが、本当に残念でした。