映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

スケラッコ『平太郎に怖いものはない』

 今回紹介する作品も先日紹介した『スキップとローファー』と同じく、ラジオ番組(アフター6ジャンクション)で紹介されていた作品です。
 『スキップとローファー』が良かったこと、『スキップとローファー』は連載が続いていますがまだ2巻ということで読みましたが、今回の『平太郎に怖いものはない』は完結していて前編後編の2巻なので読んでみました。
 

www.tbsradio.jp

 


平太郎に怖いものはない 前編 (torch comics)

 

トーチweb 平太郎に怖いものはない

内容(トーチwebより)
平太郎は16歳。高校へは行かずに、お好み焼き店を営んでいる。
ある夏の7月1日から、平太郎の身の周りで様々な怪異が起こりはじめた。
なにかの祟りのようだが、はっきりとはわからない。
そういえばこの間、触れてはいけないものに触れてしまった気がする。
周りの人は心配するけど、本人はどこ吹く風である。
平太郎に怖いものはない。でも、本当にそうなのだろうか……
現在の広島県三次市に実在した若き藩士稲生平太郎が、実際の出来事として語り継いだ妖怪実見譚『三次実録物語』を基に描く、多種多様な妖怪たちと、恐怖に強い耐性を持つ主人公・平太郎の物語。

勝手に五段階評価
★★★★☆

感想
 
両親は既に他界し、お好み焼き店を営んでいる平太郎。
 上に載せた紹介に書いてあるように、平太郎の身の回りで次々と不思議な出来事が起きます。
 妖怪だったり、祟りだったりと。

 この物語、漫画の最後にも載っているのですが、現在の広島県三次市に実在した稲生平太郎が書いた妖怪実見譚『三次実録物語』を元にしているそうです。

 それを現代での出来事として描いているのですが、最後に「怖いもの」が出てきます。
 そして、さらに、何故平太郎の身に様々な「怖いもの」が現れていたのかも明らかになります。

 正直、前編だけだったら、物足りない感じがしていました。
 けれど、その最後に出てくる「怖いもの」や何故「怖いもの」が次々と平太郎の周囲に現れたのか、さらに「怖いもの」が現れた後の平太郎の行動がとても良かったです。

 僕も割と平太郎のように、動じないように思われていることが多く、さらには、中々直接の表現は苦手です(だからこうしてブログという形で文章にしているのですが)。

 平太郎にとっての「怖いもの」が何かということは重要ではなく、それが何故起きていたのか、そして、「怖いもの」があるという自分を受けいれた後に取る平太郎の行動が良いな、と。
 それは、ある意味で自分の「弱さ」を認めたということで、「弱さ」があると認めるからこそそれまでの考えや行動から変わるものってあると思うので、それが描かれているのが良かったです。