映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「オクジャ okja」

 せっかくNetflixに加入したので、以前から観たいと思っていた「ROMA/ローマ」以外にもNetflixオリジナル作品を観ようと、調べてみたら、オススメされていたのがこの作品です。 

 

youtu.be

 

Okja | Netflix Official Site

 

作品データ映画.comより)
監督 ポン・ジュノ
原題 Okja
製作年 2017年
製作国 韓国・アメリカ合作
上映時間 120分
映倫区分 R15+

内容Official Siteより)
共に成長してきた心優しい巨大生物と一人の少女。田舎で平和に暮らしていた彼らが、現代社会の科学倫理と動物愛護主義、企業欲の醜い争いの渦に巻き込まれていく。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★★

感想
 Officialサイトの説明がものすごく短いのですが、どういう内容かというと、スーパーフードとして、品種改良された巨大な豚を巡る話です。
 遺伝子操作もされず、巨大化するまでに多くの肥料が必要でもないのに対し、沢山の「食料」として供給することが出来る。
 そんな「巨大生物」を「発見」し、手始めに、世界各地で一頭ずつ飼育させ、数年後に一番巨大化させた飼育者と豚が「勝者」としてたたえられるイベントをする、という企画を豚の生産企業が計画します。

 タイトルの「オクジャ okja」はその中の一頭で、韓国の山奥で育てられ、祖父と孫娘と暮らしていました。
 孫娘のミジャはオクジャがそんな経緯で一緒にいることを全く知らず、ある日突然オクジャを奪われてしまいます。
 子どもが一人で助け出すことなど出来ないのですが、そこに加わるのが動物愛護団体のメンバーたちです。

 遺伝子操作をしていないというのも全くの嘘で、ただただ、人間に「便利」なように生物を改変し、それを殺し、食べる。
 この作品を観て思いだしたのが、「いのちの食べかた」というドキュメンタリー映画です。

 「いのちの食べかた」はドキュメンタリーですが、この「オクジャ okja」は娯楽というかアクションやSFといった要素が含まれているので、ある意味「楽しめる」作品なのかも知れません。
 けれど、訴えている内容は「いのちの食べかた」と同じで、僕たちの目には触れないところで沢山の動物たちが「生産され」、「殺され」、「加工」されているという現実です。

 終わり方も後味の悪いものになっていて、それが僕にとっては良いなと思いました。
 なぜなら、食べるということはどうしたって、命を奪う行為だからです。
 僕は自分が食べるために、魚だけでなく、鶏を絞め殺し、豚の出荷のお手伝いをしたことがあります。
 鶏を絞め殺したときや、豚は許可がないところで、許可のない人が殺してはいけないため、出荷したのですが、その豚(僕はぶーちゃんと呼んでいました)が肉の塊となって帰ってきたとき、周りには少なからずショックを受けている人がいました。
 僕は鶏は唐揚げに、豚はバーベキューで美味しく食べましたが、普段見えない、見えなくされているからこそ、そして、「命」を奪いながら自分が生きていることを考えたことのなかった人にとっては、突然突きつけられる現実に戸惑うのかも知れません。

 今回の作品がR15+になっている理由も、豚を殺して加工する場面が映っているからだと思うのですが、これは実際に今行われていることと同じやり方です。
 屠場に行けば日本でも同じ事が毎日行われています。
 普段「見えないように」されている、「隠されている」とも言える、その現実が垣間見えるとともに、それについて考えさせるきっかけとなる優れた作品だと思いました。