映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

坂村真民『詩集 念ずれば花ひらく』

 僕が子どもたちと暮らしていた街には沢山のお寺がありました。
 その中のある寺では、門柱に詩というか、一言が書かれていました。
 そこには末尾に「真民」だとかが書いてあって、その名前から高名なお坊さんの言葉なのかと思っていました。
 が、その詩や言葉がとても沁みてくるものがあったので調べてみたら、坂村真民さんというお坊さんではなく、詩人の名前でした。
 先日も少し書きましたが、長い文章よりも詩のような短い言葉を求めていたので、坂村真民さんの詩集の中でも評価の高かったこの本を手に取って読んでみました。 

 


詩集 念ずれば花ひらく

 

詩集 念ずれば花ひらく | サンマーク出版


内容サンマーク出版より)
坂村真民は国民詩人との呼び声も高く、さりげない言葉でつづられた詩に込められた深い心情と限りない情熱は多くの人の心をうち、日本国内にとどまらず、海外でも高い評価を得るに至っています。「念ずれば花ひらく」を初めとする詩碑が、日本全国と世界五大州に建てられ、その数が470の多きにのぼっていることは、まさに現代の奇跡ともいえる現象ともいえます。本書は坂村真民の半世紀に及ぶ詩作生活の中で歌い上げた一万余篇の作品の中から「念ずれば花ひらく」「二度とない人生だから」「鳥は飛ばねばならぬ」などの代表作を含む128篇を厳選して編んだ、待望の決定版です。

勝手に五段階評価
★★★★★

感想
 沁みる詩が沢山載っていたので、付箋だらけになってしまい、そこからさらにこのブログを書くために絞り込んだのですが、それでも多くなってしまいました。
 なので、二つだけ紹介したいと思います。
 

吹き抜けて行け

吹き抜けて行け
吹き抜けて行け
善も
悪も
憎悪も
怨恨も
空っ風のように
わたしの体を
吹き抜けて行け
吹き抜けて行け


 詩というのは、その時の自分の気持ちとか状態によって響いてくるものが違うと思います。
 中でもこの詩は、今の僕にとって一番必要で、染み渡り、勇気をもらえるような気がしました。
 何もかも僕の体を「吹き抜けて行け」。
 まさにそんな心境です。
 「善」や「悪」だけでなく、喜びも悲しみも、何もかも「吹き抜けて行け」。
 僕にとっては、それが願いでもあるような気がします。
  

仕事

頭のさがるのは
年齢でもなく
学問でもなく
肩書きでもなく
その人がしている
仕事である
貧しい人のため
苦しんでいる人のため
希望を失った人のため
体を張って
生きている
マザー・テレサのような人である

 
 坂村真民さんの詩を初めて見たのがお寺だったのと、その名前からてっきり仏教関係者なのかと思っていたのですが、特定の宗教には縛られていないことが詩を読んでいると分かります。
 新しい仕事が決まったことを書きましたが、その時にさらされたのは、年齢や学歴、肩書きです。
 大学生の時の就活(結局やめて大学院に進みましたが)でも感じましたが、「仕事」に対して根本的に抱いていた疑問というか違和感は、この年齢や学歴、肩書きで評価されていること、さらに「貧しい人」「苦しんでいる人」「希望を失っている人」のために働きたいという気持ちがあったからです。
 次の仕事は今よりはですが、それに近いことが出来るのではないかと思っています。
 「貧しい人」「苦しんでいる人」「希望を失っている人」のために「体を張って」生きていきたいと思います。