映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

「BPM ビート・パー・ミニット」

 新聞の映画評でいつか観ようと思っていた作品です。
 Amazonプライムで観られるようになっていたので観てみました。

(プレミアシート)「BPM ビート・パー・ミニット」 権力と闘う市民への礼賛:朝日新聞デジタル

 


BPM ビート・パー・ミニット(字幕版)

 

作品データ映画.comより)
監督 ロバン・カンピヨ
原題 120 battements par minute
製作年 2017年
製作国 フランス
上映時間 143分
配給 ファントム・フィルム
映倫区分 R15+

あらすじシネマトゥデイより)
1990年代初頭のフランス・パリ。「Act Up-Paris」はエイズへの偏見を正そうと、新薬の研究成果を隠す製薬会社を襲撃したり、ゲイのパレードに参加したりするなどの活動を行っていた。メンバーのショーン(ナウエル・ペレース・ビスカヤート)は仲間のナタン(アルノー・ヴァロワ)と愛し合うようになるが、次第にエイズの症状が表れてきて……。

勝手に五段階評価(基本的に甘いです)
★★★★☆

感想
 原題は「120 battements par minute」意味としては1分間に120ビートを打つ、ということでリズムを現しています。
 日本版タイトルは単にBPMとしていますが、120というのが肝心で、一分間に120回リズムを刻むということは多くの人の心臓のリズムの倍ということになります。
 その、多くの人よりも早く、倍近く早い鼓動で過ごしている青年たちが物語の主人公です。

 今では信じられませんが、HIV、AIDSが世間で偏見にさらされ、フランスでも性教育がされていなかったことが分かると共に、製薬会社や社会に向けて自分たちの存在をいかに知ってもらおうかという運動を描いています。

 似たような映画としてはイギリスを舞台にした「パレードへようこそ」がありますが、この作品で印象的なのは、徹底して「議論する」ということです。
 誰かが発言していたら他の人は口を挟むことはしてはならず、賛同する場合には指を鳴らす。
 反対意見があれば、発言が終わった後に発言する。

 この当たり前の「議論」が(特に日本では)出来ていないので、作品を観ている側としてはいつまで議論してるんだとか、議論の場面ばかりのように映るかも知れませんが、それだからこそ、彼らの行動の一つ一つが重要なものだということも伝わってきます。

 また、「Act Up-Paris」という団体を描いていつつも、その中のメンバーの出会い、恋愛、闘病、介護、死を描いているところもとても良かったです。
 僕としては、性教育の一つとしてもこの作品を学校教育で使えると思いました。