映画と本と自分と山

映画が半分、残りは本と自分、時々山登りについて

萩原あさ美『娘の友達』

 いつも(ラジオクラウドで)聞いている荻上チキさんがパーソナリティを務めるラジオ番組Session-22、最近またチキさんオススメの漫画などの紹介があるのですが、その際に気になった作品が今回の『娘の友達』です。

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 チキさんが紹介する際に、これはなんというか、サスペンスみたいな内容です、というようなことを言っていたところが気になって、Amazonなどでレビューを眺めたら、評価も高かったのとまだ2巻ということで手に取ってみました。 


娘の友達(1)

  

『娘の友達(1)』(萩原 あさ美)|講談社コミックプラス

 

内容講談社より)
家庭では父親として、会社では係長として、“理想的な自分”を演じるように生きてきた主人公・晃介。だが、娘の友達である少女・古都との出会いにより、人生は180度変化する。 彼女の前では、本物の自分でいられた。すり減った心が、癒されていった。それが、“決して抱いてはいけない感情”だと知りながら――。 社会の中で自己を抑圧する現代人へ贈る、“ミドルエイジ・ミーツ・ガール”ストーリーが幕を開ける。

感想
 表紙の絵のように何と言うかほんわかした感じなのですが、内容はチキさんが言っていたように、サスペンスというか、ちょっと怖い感じでした。

 妻に先立たれ、1人娘を育てる主人公晃介。
 職場では昇進を目前にするものの、娘は不登校に。
 たまたま寄った喫茶店で出会った少女古都が実は娘と同級生だということが分かりつつ、距離を置こうとするが、古都の言動に癒やされ翻弄される。

 そういえば、先日、友人が開いてくれる飲み会に行ったら、母校の後輩になる大学2年生の子たちが来ていたのですが、よくよく考えたら、僕とその子たちよりも、僕の子どもたちの方が年齢が近いんだなぁ、と思って、なんかすごく不思議な気持ちになりました。

 主人公の晃介は古都に惹かれるというか、確実に癒やされるのですが、それが単純に年齢だけの違いだったら良いものの、高校生であり、しかも娘の同級生という「倫理」とか「道徳」との葛藤というか、それに対する恐怖を感じる内容になっています。
 恐怖を感じるのは、僕が父親という立場だからなのかも知れませんが。

 高校生と中年男性との恋愛の話で言えば『恋は雨上がりのように』がありますが、『恋は雨上がりのように』のような爽やかさは、その絵柄と対照的に全く感じることなく、むしろどろっとしたものや、闇のようなものを感じます。

 まだ2巻までしか出ていないのですが、2巻では古都が抱えている事情も少し明らかになり、これからの展開がサスペンス的ではあるのですが、気になる作品です。